
互助会で積み立てをすれば、それでちゃんとお葬式ができるんですよね?



う~ん、人によっては積み立てだけでは不十分かもしれません。
あなたもご存知のように、お葬式をするにはたくさんのお金が必要です。
そのため、互助会の積立コースでお葬式の準備をしている人は大勢います。
ところが、いざお葬式となったときに「えっ、これは別料金だったの!?」ということがよくあるんですよね。
じつは、お葬式をするときになって『積立コースにはないメニュー』を追加することが多いため注意が必要です。
本記事では【互助会の積立コースに入っていない内容】について解説しています。
大事なお葬式のときに《予想外の追加費用》で慌てることがないよう最後まで読んでみてください。
この記事を書いている私『ちょっき』は僧侶になって29年です。お葬式を800回以上お勤めしてきた経験をもとに互助会に関する情報を発信しています。
積立コースに入っているものは何?
互助会に入会すると、いくつか用意されている【積立コース】の中から1つを選んで契約し、その後は毎月決まった金額を積み立てます。
積立コースの費用は、1口あたり『12万円~60万円』が相場なので、これを毎月積み立てると【月々1千円~5千円】ということが多いです。
選ぶコースによって受けられるサービスの内容は少し違いますが、どのコースにも『お葬式で必要なもの』は入っています。
そして、この『お葬式で必要なもの』は多くの互助会で共通しているんですよね。
具体的な例を挙げると、だいたい下記のものが共通しています。
寝台車 | 故人名看板 | 霊柩車 |
安置室 | 受付事務用品 | 会葬礼状 |
寝具 | 祭壇 | 火葬場内の案内 |
枕飾り一式 | 遺影写真 | 骨壺一式 |
仏衣 | 御位牌・塔婆 | 後飾り祭壇 |
棺 | 祭壇用供物 | 事務手続代行 |
納棺 | 焼香用具一式 | |
ドライアイス | 司会進行 |
ここで、積立コースに関して1つ大事な注意点があります。
これらの『お葬式で必要なもの』だけでは、おそらく《納得のいくお葬式》はできないでしょう。
じつは、一般的なお葬式をする場合は、別料金を支払ってメニューを追加することがほとんどなのです。
《関連記事》:【入会前に必読!】互助会の積立てコースによくある内容を紹介
互助会の積立コースにはない追加費用の正体
互助会の積立コースで準備をしているのは『必要なもの』だけです。
必要なものが入っているので、お葬式をすることはできますが、正直なところ積立コースの内容だけでは《物足りないお葬式》になってしまうでしょう。
また、本当なら葬儀社に任せてしまいたいことも、契約内容によっては自分自身でしなくてはいけません。
それに、家族の希望、地域の慣習、会葬者の人数によって内容を変えたくなることもあります。
そのため、お葬式の基本的なものは積立コースで準備をして、他のものについては別料金を支払ってメニューを追加することがほとんどなんです。
では、積立コースには含まれていない追加費用の正体が何なのか、以下で詳しく紹介していきます。
互助会の積立コースに入っていないもの
互助会の積立コースに入っていないのは、簡単に言うと『互助会側で予測ができないもの』です。
僧侶へ納める費用
互助会の積立コースには、僧侶へ納める費用、つまり『お布施』が入っていません。
お布施の金額というのは、
- 宗派
- 地域
- 戒名(法名)のランク
- 住職の意向
によって大きく異なります。
そのため、金額の予測ができない『お布施』は互助会の積立コースに入れられないのです。
仏式でお葬式をする場合は、必ず『お布施』が追加費用となるので注意してください。
《関連記事》:お葬式で渡す『お布施』の金額はどのくらい?宗派や地区別に相場を紹介
参列者へ振る舞う料理の費用
互助会の積立コースには、参列者へ振る舞う料理の費用が入っていません。
お葬式をするときには参列者へ、
- 通夜振舞い
- 精進落とし
- おしのぎ
などの料理を振る舞います。
これらの料理は、参列者の人数が分からないと注文する数も決まらないので、事前に費用が出せません。
また、材料費は必ず変動しますので、将来的にまったく同じ内容の料理が提供できるとは限りません。
そのため、お葬式で振る舞う料理については、数量も内容も未確定であるため積立コースには入っていないのです。
《関連記事》:お葬式の料理費用の相場はどれくらい?通夜振舞いや精進落としの金額
返礼品の費用
互助会の積立コースには、参列者に渡す返礼品の費用が入っていません。
理由は、料理の費用と同じで、参列者の人数が事前に分からないからです。
また、返礼品の内容は頻繁に変わりますので、ずっと先まで同じ品物があるとは限りません。
そのため、返礼品については積立コースから除外されています。
ちなみに、返礼品を選ぶときは、
- 消耗品であること
- できるだけコンパクトなもの
- 軽量なもの
- 食べ物なら長期保存ができるもの
ということを基準にして選ぶと参列者の方々に喜んでもらえていいですよ。
《関連記事》:お葬式の『引き出物』には何を渡す?金額の相場や香典返しとの違いも紹介
祭壇のグレードアップ
互助会の積立コースには、祭壇のグレードアップの費用が入っていません。
お葬式の祭壇にはいくつか種類があり、
- 白木祭壇(仏式祭壇)
- 花祭壇
- 日蓮正宗(≒創価学会)祭壇
- 神式祭壇
- キリスト教式祭壇
- オリジナル祭壇
などが使用されます。
積立コースの中に入っているのは白木祭壇や花祭壇が多く、しかも比較的ボリュームの少ないものです。
そのため、「故人のために、もう少し見栄えの良い祭壇にしたい。」という思いから、祭壇のグレードアップをする人が多いんですよね。
一方で、グレードアップをせずに積立コースのままの祭壇でお葬式をする人もいます。
祭壇のグレードアップをする人が多いのは確かですが、それでも不確定要素なので、積立コースには入っていません。
《関連記事》:お葬式の印象は『祭壇』で決まる!祭壇の種類と選び方を僧侶が詳しく解説
棺桶のグレードアップ
互助会の積立コースには、祭壇のグレードアップの費用が入っていません。
理由は、祭壇と同じで、棺桶のグレードアップをする人が多いのは確かですが、それでも不確定要素だからです。
棺桶の素材には、
- 布張棺
- 木棺
- エンバー棺
- エコ棺
などがあり、積立コースの中にあるものは布張棺か木棺でしょう。
また、棺桶の形状には、
- 箱型
- 山型
- かまぼこ型
- インロー型
- コフィン型(船型)
があり、積立コースの中にあるものは箱型か山型が多いです。
棺桶の場合、素材や形状を含めていろんなデザインがありますが、見栄えの良いものはだいたい追加費用が発生します。
しかし、積立コースの棺桶をそのまま使用する人も大勢いるので、棺桶のグレードアップの費用については積立コースに入っていません。
《関連記事》:『棺桶の選び方』を僧侶が伝授!棺桶は素材や形状の種類が意外と多い
遺影写真の加工や額縁のグレードアップ
互助会の積立コースには、遺影写真の加工や額縁のグレードアップの費用が入っていません。
積立コースでは、遺影写真作製のために、顔のうつった写真を引き伸ばしたり、背景を消すなど、基本的な加工はしてくれます。
しかし、より高度な加工をすれば追加費用が発生します。
また、遺影写真の額縁も、高級素材を使用するなど何らかのカスタマイズをすれば追加費用が必要です。
とはいえ、遺影写真については基本的な加工や額縁を希望する人の方が多いです。
なので、遺影写真に『こだわり』がある人は追加費用が発生するという心づもりでいてください。
《関連記事》:自分で備える遺影写真の作り方ガイド。遺影に適した写真の選び方
骨壺のグレードアップ
互助会の積立コースには、骨壺のグレードアップの費用が入っていません。
積立コースに入っているのは、標準的な『陶磁器製の真っ白な骨壺』です。
しかし、骨壺にはいろんな素材、柄、形状があります。
骨壺はずっと故人の遺骨を納めておくものなので、遺族としては骨壺にこだわりたくなるんですよね。
そのため、骨壺のグレードアップをする人が多く、相応の追加費用もかかってしまいます。
《関連記事》:骨壺にはどんな種類があるの?骨壺の選び方を詳しく紹介
ドライアイスの追加分
互助会の積立コースには、ドライアイスの追加分の費用が入っていません。
積立コースには約2~3日分のドライアイスが用意されていますが、それを超える分については追加費用が発生します。
お葬式の日程というのは、必ずしも家族の希望通りに決められるわけではありません。
特に12月~3月というのはお葬式が増える時期であるため火葬場の予約がなかなか取れず、亡くなった日から1週間以上お葬式ができないこともよくあるんですよね。
そのような場合は、必然的にドライアイスの追加が必要となるので、その分だけ追加費用もかかります。
ちなみに、遺体をより生前に近い状態で保存できる『エンバーミング』を施す人もいます。
しかし、エンバーミングは費用が15万円以上と高額になるため、お葬式当日まで1週間以上の日数が必要なときに利用しましょう。
《関連記事》:遺体の保存方法は『ドライアイス』と『エンバーミング』の2つ。
湯灌(ゆかん)の費用
互助会の積立コースには『湯灌』の費用が入っていません。
湯灌というのは、最後に故人を専用のお風呂に入れて、全身を洗ってあげることです。
全身をキレイに洗った後は死装束を着せてあげて、お顔にメイクを施してから納棺します。
湯灌については希望をしない遺族も多く、ほとんどの互助会では追加メニューとなっています。
湯灌をしない場合は、全身を拭いて清潔な状態にしてから納棺されるのでご安心ください。
《関連記事》:【今さら聞けない】納棺って何?納棺の流れを僧侶が詳しく紹介
特別演出の費用
互助会の積立コースには、特別演出の費用が入っていません。
特別演出には、
- エレクトーン演奏
- メモリアルムービーの上映
- 故人の趣味を取り入れた演出
などがあります。
お葬式は故人にとって『最後の晴れ舞台』なので、できるだけ故人らしさを出してあげたいのが遺族の心情です。
しかし、特別演出というくらいですから、積立コースには無い内容となるため追加費用が必要となります。
寝台車や霊柩車の遠距離搬送の費用
互助会の積立コースには、寝台車や霊柩車の遠距離搬送の費用が入っていません。
人が亡くなると、遺体を自宅や専用施設へ搬送するための【寝台車】が必要です。
また、お葬式を終えた後は、故人を火葬場まで搬送するための【霊柩車】が必要となります。
しかし、寝台車や霊柩車で遠距離搬送をする場合には追加費用がかかります。
一般的には、走行距離が10㎞を超えると追加料金が必要になるところが多いです。
特に寝台車は、遺体のある場所まで迎えに行く距離も換算されるので注意しましょう。
マイクロバスや送迎タクシーの手配費用
互助会の積立コースには、マイクロバスや送迎タクシーの費用が入っていません。
お葬式が終わると、家族や親戚は火葬場まで行きます。
このとき、火葬場まで行く親戚の人数が少ない場合は、自家用車で移動します。
しかし、親戚の人数が多いと、喪主はマイクロバスや送迎タクシーを手配しなくてはいけません。
積立コースは基本的な内容だけなので、マイクロバスや送迎タクシーは別発注となり追加費用が必要となるのです。
全部込みになっている積立コースはないの?
互助会で積み立てをしておくことは、お葬式の準備として有効な手段となります。
しかし、なぜ積立コースには基本的なものしか入っていないのでしょう?
結局ほとんどの人がメニューの追加をするのですから、最初から【全部込みになっているコース】はないのでしょうか?
残念ながら【全部込みになっているコース】というのはないんですよね。
積立コースに基本的なものしか入っていないのは、べつに互助会が後から利益を得ようとしてわざと不親切にしているわけではありません。
どのようなお葬式をしたいのかは家族によって違うため、全部込みのコースを作れないのです。
コースの内容が最初から全部込みになっていれば、お葬式をするときに追加の出費をせずにすむので助かります。
しかし、あれもこれも全部込みにすると、人によっては不要なものまで含まれてしまうんですよね。
そうすると、人によっては不要なものに対して費用を支払うことになり不公平が生じます。
そのため、積立コースはあくまでも基本的なものだけにしておき、あとは人それぞれの希望に応じて「他の部分ははご自由にお決めください。」というスタンスなのです。
まとめ
互助会の積立コースの内容は基本的なものだけ入っており、それ以外のものについては追加費用が必要です。
互助会に関しては、この追加費用についてトラブルになることもあります。
しかし、追加費用が必要になることを事前に知っていれば、前もって準備をしておくことができ、いざというときに慌てることもありません。
まずは、どのようなお葬式にするのかを家族で話し合い、次に積立コースの内容を確認してください。
そして最後に、何が不足していて、それを補うためにどのくらい追加費用が必要なのかを調べておきましょう。
※お葬式の準備をするときはこちらの記事もご参考にどうぞ。