- 事前に喪主がやることを知っておきたい。
- 大事な家族のお葬式だから、後悔のないようにしっかりと準備をしたい。
- ヘタなお葬式をして、親戚に文句を言われたり、恥をかくのはイヤだ。
喪主というのは、お葬式の『監督』のような立場です。
お葬式の良し悪しが決まるのは喪主次第なので、今のうちから【喪主がやること】を知っておくことが大事です。
今のうちから喪主の仕事の内容が分かって入れば、いざというときに、しっかりと滞りなくお葬式の手配をすることができます。
また、お葬式の後にも喪主の仕事がありますので、喪主は本当に大変なのです。
この記事では、現役僧侶の私が『お葬式の準備からお葬式後の動きまで、喪主がやること』について詳しく紹介しています。
最後まで読むと【喪主がやること】の一通りの流れが掴めますのでチェックしてみてください。
喪主はやることが多いのでしっかりと確認をしておいてください。
※今すぐ『喪主がやることの内容』を知りたい方はこちらからどうぞ。
この記事を書いている私『ちょっき』は僧侶になって29年です。お葬式を800回以上お勤めしてきた経験をもとに互助会に関する情報を発信しています。
喪主と施主の違い
ご存じのように、【喪主】はお葬式で遺族の代表者となる人のことをいいます。
でも、喪主と同じような意味で【施主】という言葉も聞いたことがありませんか?
実際に、お葬式の生花の名札に『喪主』と書かれていることもあれば『施主』と書かれている場合もあります。
では、【喪主】と【施主】では何が違うのでしょうか?
簡単に説明すると、
- 【喪主】:喪に服す人たちの中で主となる人
- 【施主】:主に費用を出している人
という違いがあります。
しかし、ほとんどの場合は喪主が費用も出しているので、お葬式のときには喪主だけになります。
この記事でも《喪主=施主》という前提で書いていきます。
ちなみに、故人の次男が喪主をつとめて費用は長男が出すようなケースもあり、そのような場合は『喪主』と『施主』の2つの名札が並びます。
誰が喪主になるのか
喪主がやることを紹介する前に、まずは【誰が喪主になるのか】を確認しましょう。
お葬式のすべてを決めるのは【喪主】です。
喪主の考え方によってお葬式の内容が決まりますので、【誰が喪主になるのか】というのは非常に大事なことなのです。
じつは、喪主の選び方については《法的な決まり》があるわけではないので、喪主というのは誰がなってもいいんですよね。
そのため、喪主は家族で話し合って決めるのが一般的です。
ちなみに、私が今まで見てきた限り、ほとんどは、
- 故人の配偶者
- 故人の長男または長女
が喪主をしています。
やはり『故人と関係の近い人』が喪主をするんですよね。
故人と関係の遠い人でも喪主をできますが、『誰が喪主をやれば故人が喜ぶのか』を考えると、遺族から喪主を出してあげるべきでしょう。
もしかすると、《誰が喪主になるのか》でモメるかもしれませんが、そのときは『どうすれば故人が喜ぶのか』を最優先に考えて決めましょう。
《関連記事》:【喪主の決め方】よくある『喪主は誰がやるの?』の問題を解決
喪主がやることの内容
ここからは【喪主がやることの内容】について詳しく解説していきます。
喪主がやることは、大きく分けて、
- お葬式が終わるまでのこと
- お葬式が終わった後のこと
の2つがあります。
お葬式が終わるまでに喪主がやることは、
- 遺体の搬送をする場所を決めて、搬送をしてもらう
- 死亡診断書の受け取りや病院への支払い
- 葬儀社と打ち合わせ
- 寺院へ連絡し、お葬式の日程、戒名などの打ち合わせ
- 死亡届を書いて役所へ提出
- 家の中を掃除して、遺体を安置する
- 訃報の連絡をする
- 料理、返礼品、供物、供花などの注文を取りまとめ、各業者へ発注する
- 参列者やお坊さんへの対応と、1番最初にお焼香をする
- お通夜、出棺、火葬場での食事のときの挨拶
これらがあります。
そして、お葬式が終わった後に喪主がやることは以下のとおりです。
- 後飾りをして、後日に自宅訪問をしに来る人の対応
- 香典返しの手配
- 49日忌の手配
- 本位牌、仏壇、お墓の用意
- 役所へ出向き、死亡申請や名義変更をする
喪主がやることの中には葬儀社が代行してくれるものもありますので、それらは葬儀社に任せてしまいましょう。
お葬式が終わるまでに喪主がやること
まずは『お葬式が終わるまでに喪主がやること』について詳しく紹介します。
改めて【お葬式が終わるまでにやること】を挙げると以下のとおりです。
- 遺体の搬送をする場所を決めて、搬送をしてもらう
- 死亡診断書の受け取りや病院への支払い
- 葬儀社と打ち合わせ
- 寺院へ連絡し、お葬式の日程、戒名などの打ち合わせ
- 死亡届を書いて役所へ提出
- 家の中を掃除して、遺体を安置する
- 訃報の連絡をする
- 料理、返礼品、供物、供花などの注文を取りまとめ、各業者へ発注する
- 参列者やお坊さんへの対応と、1番最初にお焼香をする
- お通夜、出棺、火葬場での食事のときの挨拶
これらを少ない時間の中でやらなきゃいけないので大変です。
喪主の仕事はたくさんありますが、事前に【喪主がやること】が分かっていたら、いざというときにも慌てずスムーズに進めることができます。
しかし、事前の知識なしで喪主をすると【手配ミス】や【思ったものと違う】ということが起こりやすくなり、残念なお葬式になってしまいます。
ですから、故人はもちろん、参列者にも「いいお葬式だったな。」と思ってもらえるように、今のうちから喪主のやることをしっかり予習しておきましょう。
遺体の搬送をする場所を決めて、搬送をしてもらう
現在の日本では70%以上の人が【病院】で亡くなっています。
もしも【病院】で亡くなった場合、できるだけ早く遺体を他の場所へ搬送しなくてはいけません。
遺体を搬送してくれるのは、病院のスタッフではなく『葬儀社』です。
ですから、まずは葬儀社を決める必要があります。
すでにどこかの葬儀社との付き合いがあればその葬儀社へ連絡をしてください。
どこの葬儀社とも付き合いがない場合は、病院から葬儀社を紹介してもらえます。
しかし、僧侶の私としては、前もって【信頼できる優良な葬儀社】をあなた自身で探しておくことをおすすめします。
なぜなら、病院から紹介された葬儀社が《あなたにとって信頼できる優良な葬儀社》なのかどうか分からないからです。
葬儀社を紹介するということは、《紹介する側=病院》にとって何らかのメリット(紹介料)があり、そのしわ寄せが行くのは喪主(利用者)です。
ですから、紹介された葬儀社でもいいのですが、できれば《あなたにとって信頼できる優良な葬儀社》をあなた自身で事前に選んでおいてください。
葬儀社の中には『互助会』を設けているところもありますので、互助会に入って葬儀費用の準備をするのもいいと思います。
互助会があるのは規模が大きい葬儀社なので安心ですよ。
まずは、事前に複数社から見積もりをとって、そのときに『お葬式費用の相場』も調べておきましょう。
資料請求した葬儀社の中から「ここなら良さそうだな」と思う葬儀社を選び出し、見積書や資料などを保管しておいてください。
あるいは、依頼する葬儀社(互助会)が決まったら、先に会員登録を済ませておくのもいいですね。
そうすれば、いざというときにご遺体の搬送や火葬場の手配などスムーズに対応してもらえます。
《関連記事》:互助会はどこがいい?現役僧侶の私がおすすめする互助会5選
死亡診断書の受け取りや病院への支払い
家族が亡くなったら、医師から【死亡診断書】または【死体検案書】を書いてもらいます。
これらの書類は、亡くなったことを医学的・法律的に証明する文書です。
この書類がないと火葬することができません。
ちなみに、大まかに言えば、
- 【死亡診断書】:以前から入院や通院をしていた人が、医師による確認のもと亡くなった場合に発行される
- 【死体検案書】:事故死、突然死、自殺など、検死が必要な亡くなり方をした場合に発行される
という違いがあります。
死亡診断書や死体検案書を受け取ったら、遺体を搬送します。
病院や施設で亡くなった場合は、遺体を搬送した後に諸々の支払いをしましょう。
葬儀社と打ち合わせ
遺体の搬送が済んだら、葬儀社とお葬式全体の打ち合わせがあります。
打ち合わせの内容は、
- どんな形式のお葬式にするのか
- お葬式の日程はいつか
- お葬式の式場はどこにするのか
- 訃報のお知らせは誰に出すのか
- 棺はどんなものにするのか
- 遺影はどの写真を使うのか
- どんな祭壇にするのか
- 受付は誰にお願いするのか
- 参列者に振る舞う『料理』はどうするのか
- 参列者の名前の入った生花はどの順番に置くのか
- 返礼品はどんな物にするのか
などです。
喪主の仕事で最も重要なのは、この【葬儀社との打ち合わせ】です。
そして、葬儀社との打ち合わせが一番大変なのですが、ここで面倒になってすべて葬儀社の言われるがままに決めてはダメですよ。
葬儀社側は過去の経験から「これもあった方がいいだろう。」と思って提案をしますが、あなたにとってそれが不要であればちゃんと伝えましょう。
何となく言いづらいからといって、あなたにとって不要なオプションまで追加していると、請求書を見て後悔することになります。
ですから、信頼できる優良な葬儀社を事前に選んでおいて、あらかじめ葬儀プランや見積もりの内容を確認し、いざというときでもスムーズに打ち合わせができるようにしておきましょう
寺院へ連絡し、お葬式の日程、戒名などの打ち合わせ
日本の場合、お葬式の多くは『仏式』です。
『仏式』ということは、【お坊さん】にお葬式の依頼をしなくてはいけませんので、お坊さんの都合を確認する必要があります。
たまに、お坊さんの都合を確認せずに日程を決めてしまう人がいますが、それは本当にヤメてください。
我々僧侶にもいろいろ予定があります、ヒマそうに見えるかもしれませんが意外と忙しいのです。
まずは葬儀社に【火葬場の空き状況】を確認してもらい、空いている日をリストアップしましょう。
それからお坊さんに連絡をしてスケジュールを確認した上で、 リストアップした日の中からお互いに都合の良い日を選んでください。
ちなみに、お葬式は基本的に【あなたが日頃からお付き合いしているお坊さん】に依頼してくださいね。
特に、あなたの家のお墓が【お寺】にある場合、必ずそのお寺のお坊さんに依頼をするようにしてください。
お付き合いのあるお寺がない場合、またはお付き合いをしているお寺が遠方にある場合は、葬儀社にお坊さんを紹介をしてもらうこともできます。
お葬式の日程が決まったら、一度お寺に行くか、あるいは電話をして、故人の【お戒名】に関する打ち合わせをしましょう。
お戒名の打ち合わせのときには、
- 故人の人柄
- 故人の趣味
- 故人の好きだったもの
- 故人が就いていた職業
など【故人に関する情報】をお坊さんに伝えてください。
お坊さんは、そのような故人の情報をもとにお戒名を考えます。
また、お坊さんの送迎の有無や、来てくれるお坊さんの人数を確認しておきましょう。
そして、最後にお坊さんへ納める『お布施』の金額を確認をしてください。
ちなみに、どこのお寺とも付き合いがない場合、無理をして故人にお戒名をつける必要はありません。
《関連記事》:【意外に大事】お坊さん(お寺)にお葬式を依頼するときの手順
死亡届を役所へ提出
家族が亡くなったら、必ず死亡届を役所へ提出しなければいけません。
死亡届が受理されてから火葬許可証が発行されるので、この手続きが終わらないと、いつまでたっても火葬ができません。
死亡届の中には、『死亡診断書』あるいは『死体検案書』の記入欄があるので、医師にはこの部分に記入をしてもらうことになります。
医師に記入してもらう部分以外は、親族や同居者などの【届出義務者】が記入をして提出します。
死亡届は『死亡の事実を知った日から7日以内』に提出しなくてはいけませんので注意してください。
とはいえ、喪主はお葬式の準備でとても忙しいので、提出そのものは葬儀社が代行してくれることが多いですから任せてしまいましょう。
家の中を掃除して、遺体を安置する
家族が病院で亡くなった場合、ご遺体を式場へ搬送する前に、一度自宅に搬送することが多いです。
となれば、ホコリだらけの部屋にご遺体を安置するわけにはいきませんよね。
なので、まず家の中を掃除してからご遺体を安置します。
ご遺体を安置する部屋はもちろん、お葬式の前に弔問に来る人のためにも、ある程度は家の中全体の掃除をしておきましょう。
訃報の連絡をする
お葬式の日程が決まったら、親戚をはじめ故人と親しかった人など【参列してもらいたい人】に『訃報の連絡』をします。
少し前までは、お葬式には、
- 親戚
- 故人の知人
- 仕事関係者
など、できるだけ多くの人に参列してもらうのが一般的でした。
大勢の人に見送られることが故人にとって良いことだと思われており、どれだけ多くの人が集まってくれたかがステータスになっていました。
見栄や世間体で大勢の人に訃報の連絡をしていた部分もあったんですよね。
でも、最近では参列者をできるだけ限定して人数を減らす傾向にあり、本当に参列してもらいたい人だけに訃報の連絡をするようになってきたんですね。
そのような傾向の強い都心部では、遺族や一部の親戚だけでお葬式を行う『家族葬』という葬儀形式が流行しています。
お葬式は、心から故人の冥福を祈りたいという人だけが参列すればいいんです、義理や体裁で多くの人が参列したって故人は喜びません。
心から故人の冥福を祈る人が集まれば本当の意味で『良いお葬式』ができますので、お葬式は少人数でもまったく問題ありません。
料理、会葬返礼品、供物、供花などの注文を取りまとめ、各業者へ発注する
参列してもらいたい人へ訃報の連絡をしたら、続々と返事が来ます。
返事を取りまとめれば参列者の人数が分かりますので、必要な数だけ料理と会葬返礼品を発注しましょう。
そして、参列者の中には、供物や生花を供えてくれる人もいますので、申し出があれば追加発注をします。
料理に関しては、葬儀社が提携している料理業者と喪主が直接やりとりをして発注することが多いです。
しかし、会葬返礼品・供物・生花の発注については葬儀社が代行してくれることが多いです。
参列者やお坊さんへの対応と、1番最初にお焼香をする
お葬式当日になると、喪主は参列者やお坊さんへの対応をしなくてはいけません。
参列してくれた方々には御礼の気持ちを伝え、丁重におもてなしをします。
そして、お葬式を依頼したお坊さんにも挨拶をして、お布施などを渡しておきます。
ちなみに、お坊さんにお布施を渡すタイミングは、【お葬式の始まる前】が多いです。
開式の30分前くらいになると、喪主はお坊さんの控室まで挨拶をしに行きますので、そのときにお布施を渡してください。
そして、お葬式中のお焼香については、喪主が1番最初に【お焼香】をします。
参列者のほぼ全員が喪主のお焼香のやり方を見ていますよ。
なぜなら、そのお葬式では喪主のお焼香のやり方が基準になるからです。
ですから、お焼香1つにしても喪主はプレッシャーがかかるんですよね。
お通夜、出棺、火葬場での食事のときの挨拶
多くの場合、お葬式で喪主が緊張するのは『挨拶』をするときです。
喪主が挨拶をするタイミングとしては、
- お通夜が終わったとき
- 通夜振る舞いのとき
- 出棺の前
- 火葬場での食事(精進落とし)のとき
です。
日頃あまり人前で話す機会がない人にとっては、とても緊張する場面ですよね。
でも、挨拶は短いもので問題ないので、十数秒くらいの簡単な挨拶でかまいません。
人前で上手く話すことに自信がなければ、メモなどに文面を書いて、それを見ながら読み上げても大丈夫です。
お葬式が終わった後に喪主がやること
続いて、お葬式が終わった後に喪主がやることを紹介します。
喪主は、お葬式が終わると、
- 後飾りをして、後日に自宅訪問をしに来る人の対応
- 香典返しの手配
- 49日忌の手配
- 本位牌、仏壇、お墓の用意
- 役所へ出向き、死亡申請や名義変更をする
などをしなくてはいけません。
後飾りをして、後日に自宅訪問をしに来る人の対応
地域によって違いますが、火葬を終えてもすぐにお墓へ納骨せずに、49日までは自宅に遺骨を安置しておくケースも多いです。
49日まで簡易的に遺骨を安置することを『後飾り』といいます。
後飾りをするときには、3段程度の簡単な祭壇を組んで、その上に遺骨を安置します。
49日を迎えるまでは、仏壇の他に後飾り祭壇にもお線香やお供えをします。
後飾り用の祭壇は、お葬式を担当した葬儀社で買えますので、購入を希望する場合はあらかじめその旨を伝えておきましょう。
また、49日を迎えるまでは、お葬式に参列できなかった人などが後日に家まで訪問をしに来ることもあります。
訪問をしに来てくれた人には後飾り祭壇へ手を合わせてもらいましょう。
香典返しの手配
お葬式では、参列者はみんな【御香典】または【御霊前】を持参します。
これに対して、喪主は49日忌を過ぎてから参列者へ『香典返し』を送ることでお返しをします。
しかし、香典返しには、本来の【49日忌を過ぎてから送る】という方法だけではなく、お葬式の当日に返す『当日返し』という方法もあります。
そして、最近では『当日返し』をする人が増えており、御香典や御霊前を持参した人には《会葬返礼品》と《香典返し》の両方を渡します。
でも、お葬式に参列できなかった人から御霊前や御香典が郵送されてきた場合は、本人へ直接手渡すことができません。
そのような場合は、49日忌が明けたら『香典返し』だけを送ってお返しをしましょう。
香典返しは、受け取った金額の半額を目安にするのが一般的で、贈るものは【飲食料品】や【タオル】が定番ですが、最近では品物を自由に選んでもらえるように【カタログギフト】にする人が多くなっています。
もしも、お葬式の後日に【御霊前】や【御香典】が 送られてきたら、49日忌明けに合わせて『香典返し』の手配をしておきましょう。
49日忌法要の手配
お葬式が終わってから約1か月半後には『49日忌法要』があります。
ですから、喪主はお葬式の後処理と並行して49日忌法要の手配をしなければいけません。
まずはお坊さんの予定を確認してから日程を決めて、それから参列してもらう人へ案内を出します。
それから、法要に必要な物を準備したり、食事をする場所の予約をしたり、返礼品を用意したり。
お葬式とは違って、【法事】に関することは葬儀社が代行してくれることはほぼないので、喪主(=施主)が全部やらなきゃいけませんから大変なのです。
本位牌、仏壇、お墓の用意
49日忌法要までに用意しておくものがいくつかあります。
基本的には、
- 本位牌
- 仏壇
- お墓
です。
まずは、49日忌法要までに故人の戒名などが記載されている『本位牌』を作製しましょう。
お葬式で使用された白木の位牌は【49日忌法要までの仮の位牌】なので、今後ずっと手を合わせる本位牌を作製しなくてはいけないのです。
本位牌は49日忌法要のときに、お坊さんに『開眼供養(魂入れ)』をしてもらいましょう。
白木の位牌はお坊さんに渡して【お焚き上げ=焼却処分】をしてもらってください。
次に、家に仏壇がまだないという人は、できれば49日忌法要までに仏壇があるといいですね。
なぜなら、本位牌は仏壇の中に安置しておくことが一般的だからです。
とはいえ、無理をして49日忌法要までに仏壇を用意する必要はなく、間に合わなくても大した問題ではありません。
仏壇はこれからずっと家の中にあって、しかも毎日手を合わせるものですから、家族みんなで話し合って、ちゃんと納得のいく仏壇を購入してください。
焦って仏壇を購入してしまうと結果的に後悔する可能性が高いですよ。
お葬式の後には『お骨の安置場所』を確保しなくてはいけません。
地域によっては、49日忌法要のときに故人のご遺骨をお墓へ納骨するところもあります。
ですから、 お墓がまだないという人は、49日忌までにお墓があるといいですね。
とはいえ、仏壇と同じで、49日忌法要までに間に合わなければ、それはそれで大した問題ではありません。
とりあえず49日忌法要だけを行い、納骨はお墓が建ってからでも大丈夫。
「49日忌法要までに間に合わせなきゃ!」と焦ってお墓を建ててしまうと、結果的に後悔する可能性が高いです。
お墓は仏壇よりもずっと高額なものですから、より慎重に考えなければいけせん。
お墓は1人の遺骨だけではなく、その後は何人もの遺骨が納骨されていくものです。
ですから、家族みんなでよ~く話し合って、ちゃんと納得のいくお墓を建てるようにしてください。
また、お墓を建てるときは、霊園選びも重要なポイントです。
その後は、家族でよく検討し、皆が納得して選んだ霊園にお墓を建ててください。
役所へ出向き、死亡申請や名義変更をする
家族が亡くなると、役所でいろんな名義変更の手続きが待っています。
世帯主が亡くなった場合は、役所に【世帯異動届】を提出して、住民票の世帯主を変更しなくてはいけません。
また、異動届には新しい世帯主の名前を記入しますので、誰が世帯主になるのかを決めておく必要があります。
この【世帯異動届】の提出は世帯主が亡くなってから14日以内に済ませる必要がありますから注意してください。
亡くなった人は、当たり前ですが健康保険を受けることがなくなります。
なので、故人の健康保険の【資格喪失届】を最寄りの年金事務所などへ提出しなくてはいけません。
【資格喪失届】を提出する際には健康保険証を返還しますので、必ず持って行きましょう。
この【資格喪失届】も亡くなってから14日以内に提出する必要がありますから注意してください。
また、健康保険と合わせて【年金の資格喪失】の手続きもしなきゃいけません。
国民年金の場合は、年金事務所か役所へ行って、故人の死亡届を提出します。
厚生年金の場合は、事業主が資格喪失届の手続きをすることになっています。
この【年金の資格喪失届】の手続きも、同じように亡くなってから14日以内に済ませる必要がありますから注意してください。
この他にも、金融機関への死亡申請、保険会社への連絡など、故人の名義のものはすべて名義変更や契約解除の手続きが必要です。
私がいつも聞くのは「手続きがたくさんあって、本当に大変だ。」という喪主の言葉です。
喪主というのは、お葬式のことだけではなく、その後にもやることが山積みなんですね。
喪主が注意すること
喪主がやることは大体お分かりいただけたと思います。
ここで、【喪主が注意すること】を2つほど紹介します。
簡単ですがとても重要なことなので、しっかりと覚えておいてください。
お葬式での服装は絶対に『喪服』
喪主というのは、故人に次いでお葬式の中心的な立場です。
ですから、服装や立ち振る舞いにも注意が必要です。
まずは、基本中の基本ですが、お葬式において喪主は必ず『喪服』を着用してください。
仮に、参列者が遺族や親戚だけのほんの数人だったとしても喪主は『喪服』を着ましょう、それが故人に対する礼儀であり、喪主としての最低限のマナーです。
喪主はお葬式の代表者であるため、基本的には正装の喪服でなければいけません。
男性の場合、正装の喪服というのは【和装】か【モーニング】です。
とはいえ、私は長年僧侶やってきましたが、喪主が【和装】をしているのを見たことがありません。
【モーニング】なら何人か見ましたが。
実際のところ、男性の喪主が着ているのは他の参列者と同じように《ブラックスーツ》です。
女性が喪主をやる場合、正装となるのは【和装】です。
男性の【和装】や【モーニング】はほとんど見ませんが、女性の【和装】というのはときどき見ます。
しかし、女性の喪主の多くは和装ではなく【洋装】の喪服を着ています。
洋装の方が動きやすくて、脱着もしやすく、身体の締め付けも少ないので圧倒的に使いやすいです。
おそらく、近いうちに女性でも和装をする人はいなくなることでしょう。
男性も女性も【洋装】でかまいませんので、喪主となる人はちゃんと喪服を着るようにしてください。
金融機関に名義人の死亡をすぐに伝えるかどうかの判断
喪主の仕事とは直接的に関係はありませんが、家族が亡くなった場合に注意しなきゃいけないことがあります。
それは、金融機関に名義人の死亡をすぐに伝えるかどうかです。
金融機関に名義人の死亡を伝えると、その時点をもって故人名義の口座が凍結されて、引き出しや振替などすべての取引ができなくなります。
故人の口座がすぐに凍結される理由は、
- 故人の財産を確定させるため
- 遺族や親族の相続トラブルを防ぐため
です。
人が亡くなると、その瞬間から故人の財産は『相続財産』になります。
遺族や親族で相続するためには、ちゃんと『相続財産』が決まっていないと計算ができませんので、死亡が判明した時点で故人の財産を確定させるために金融機関は口座を凍結するのです。
また、相続を始める前に故人のお金が使用されてしまうことで【相続トラブル】を招く可能性があるため、死亡が判明した時点で金融機関は口座を凍結するのです。
お葬式費用を故人の口座から出すつもりなら、故人の死亡を金融機関へ先に伝えてはいけません。
逆に、故人の口座からお金を引き出すつもりがないのであれば、金融機関へ名義人の死亡を伝えて、相続手続きが終わるまで故人の口座を凍結させておいてもいいでしょう。
ちなみに、故人の口座からお金を引き出すときには、故人に借金などの【債務】がないかチェックをした方がいいですよ。
故人の口座から引き出したお金を、お葬式以外の目的にも使うと『単純承認』が成立します。
『単純承認』とは、故人の《プラスの財産》も《マイナスの財産》もすべて相続(引き継ぎ)する、ということです。
だから、もしも《プラスの財産》よりも《マイナスの財産》の方が多かったとしても、単純承認をしてしまうと相続放棄ができなくなります。
お葬式費用は高額ですが、なるべく故人のお金はアテにしないようにしましょう。
喪主をやって【お葬式の準備】の大切さを痛感する
喪主をやった人の多くは「家族が亡くなると本当に大変だよ。」と言います。
なぜそんなに大変なのかというと、喪主となった人の多くがたくさんのことを《その時、その場》で判断して決めているからです。
喪主が決めていることは、1つ1つがとても重要なことなので、本当なら全部じっくりと考えてから決めるべきものです。
そうしないと、手配ミスがあったり段取りが悪くなったりして、大事なお葬式が残念なものになってしまいます。
しかし、現実にはお葬式までの時間があまりなく、何も知らない状態でたくさんのことを一気に決めなくてはならないので、喪主は本当に大変なのです。
でも、あらかじめ『喪主のやること』を知っていて、さらに大まかな葬儀費用も分かっていたらどうでしょう?
喪主のやることや費用が先に全部分かっていたら、いざというときでも慌てずスムーズに進められますよね。
だから、家族が亡くなったら喪主(遺族)は何をして費用はどのくらい必要なのか、ということを事前に知っておくことがとても大事なんです。
じつは、喪主をやったことがキッカケで『自分のお葬式のための準備』を始める人がとても多いのです。
自分が苦労したことを《次に喪主をする人》にはさせたくないという心理が働くわけですね。
だから、早いうちからお葬式の準備を始めて、
- 希望するお葬式の形式や規模
- お葬式に参列してもらう人(主に親戚)
- 通帳や保険証券など重要書類の保管場所
- 相続に関する書類
などが分かるようにしておくのです。
そうすれば、次に喪主をする人の【判断する回数】を減らしてあげられますよね。
お葬式の準備は自分自身のためだけではなく、家族の負担を減らすためでもあるんです。
まとめ
お葬式で喪主がやることはたくさんあります。
喪主がやることは、
- 遺体の搬送をする場所を決めて、搬送をしてもらう
- 死亡診断書の受け取りや病院への支払い
- 葬儀社と打ち合わせ
- 寺院へ連絡し、お葬式の日程、戒名などの打ち合わせ
- 死亡届を書いて役所へ提出
- 家の中を掃除して、遺体を安置する
- 訃報の連絡をする
- 料理、返礼品、供物、供花などの注文を取りまとめ、各業者へ発注する
- 参列者やお坊さんへの対応と、1番最初にお焼香をする
- お通夜、出棺、火葬場での食事のときの挨拶
- 後飾りをして、後日に自宅訪問をしに来る人の対応
- 香典返しの手配
- 49日忌の手配
- 本位牌、仏壇、お墓の用意
- 役所へ出向き、死亡申請や名義変更をする
などです。
喪主は『お葬式の事前準備』から『お葬式の後のこと』まで、限られた時間の中で多くのことを判断しなければなりません。
それを何の事前知識もなくいきなりやってしまうと、きっとノーミスではやり遂げられないでしょう。
喪主は責任重大ですし、体力的にも経済的にも大変なので、喪主となる予定の人は『喪主がやること』をあらかじめ知っておいた方がいいのです。
お葬式は【最後の晴れ舞台】です。
今のうちから予習をしておいて、後悔のないお葬式をしましょう。
※お葬式の準備のために互助会を利用する人も多いですよ。