『棺桶の選び方』を僧侶が伝授!棺桶は素材や形状の種類が意外と多い

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「棺桶の選び方」という文字の背景にある棺桶
こんな人に向けて書いています
  • 互助会のコースにあるような棺桶の種類とそれぞれの特徴を知りたい。
  • どんな棺桶を選べばいいんだろう?

お葬式をするときには、ご遺体を納める『棺桶』が必要です。

棺桶の素材や形状にはいくつか種類があり、使用する棺桶は遺族が選びます。

しかし、どんな棺桶を選べばいいのかなんて分かりませんよね。

また、互助会の契約コースに含まれている棺桶がどのようなものかも気になることでしょう。

使用する棺桶は、色や柄の選択肢の多さと利便性を考慮すると『布張棺』で『山型』がおすすめです。

この記事では、現役僧侶である私が、

  • 棺桶の素材や形状の種類
  • 棺桶の選び方

について詳しく書いています。

棺桶に関する一通りの知識が身につきますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

ちょっき

お葬式では必ず使うものなので予習しておきましょう。

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棺桶とは

『棺桶』とは、ご遺体を納めるための箱のことをいいます。

お葬式では、棺桶を祭壇の中央に安置し、厳粛に式が執り行われます。

棺桶は日本でも古くから使用されており、

  1. 座棺ざかん:ご遺体が手足を折り曲げ、座った状態で納められる
  2. 寝棺ねかん:ご遺体が手足を伸ばし、仰向けに寝かせた状態で納められる

の2つがありました。

ちなみに、九州北部では縄文時代から弥生時代にかけて甕棺かめかんという土器で作られた棺にご遺体を納めていました。

全国的には、明治時代初期まで座棺を使用していましたが、それ以後はほぼ寝棺となっています。

ちょっき

棺桶は最後までご遺体を納めているものなので、家族でよく話し合って選んでください。

棺桶は必要

ご遺体は、お葬式をする前に棺桶へ納められます。

そして、お葬式が終わった後、ご遺体は棺桶に納められた状態で火葬されます。

じつは、以前に一度だけ「遺体を棺桶へ納めずに火葬することはできますか?」と聞かれたことがありました。

火葬において《棺桶の使用》に関する法律はありませんが、多くの火葬場では棺桶がないと火葬ができません。

なぜなら、ほとんどの火葬炉は【ご遺体が棺桶に納められていること】を想定した構造になっているからです。

無理にご遺体だけを火葬すると、火葬炉を傷めてしまったり、構造上の問題で火葬そのものができないこともあります。

ちなみに、遺体を棺桶に納めてあげればドライアイスがしっかりと効くので、火葬をするまでの間は遺体をキレイな状態に保つことができますよ。

ちょっき

諸々を考えれば、ご遺体はちゃんと棺桶に納めてあげるべきです。

しかし、理由があってどうしてもご遺体のまま火葬をしたい場合は、必ず事前に葬儀社や火葬場へ確認をしてください。

ただし、多くの火葬場では【ご遺体のままの火葬】ができないため、断られる可能性が高いという点はご了承ください。

棺と柩の違い

ご遺体を納める箱のことを『棺』といいますが、じつは、同じ【ご遺体を納める箱】の意味で『ひつぎ』という漢字があります。

『棺』と『柩』は両方とも【ご遺体を納める箱】を指す漢字ですが、少しだけ意味が違います。

その違いは、箱の中にご遺体が入っているかどうかです。

『棺』という漢字は【ご遺体が納められていない状態】を表します。

一方で『柩』は【ご遺体が納められている状態】を表します。

『柩』の漢字の中にある【久】という字は《人》を表しており、柩という字は木の箱に(人=ご遺体)が入っている様子を表した漢字です。

ですから、ご遺体を棺へ納めることを『納棺』といい、ご遺体を火葬場まで搬送する車両のことは『霊柩車』といいます。

しかしながら、霊柩車が火葬場に向けて出発することを『出棺』といいますので、『棺』と『柩』の厳密な使い分けは気にしなくても問題ありません。

棺桶の選び方

棺桶といえば、何となく【木製の四角い箱】というイメージだと思いますが、じつはその素材や形状には意外と種類があります。

棺桶は、大事な家族のご遺体を納めるものですから、後悔のないように納得のいくものを選んでください。

棺桶を選ぶときには、

  • 棺桶の種類(素材)
  • 棺桶の形状
  • 棺桶の大きさ
  • 棺桶の価格

これらを総合的に判断して決めましょう。

棺桶の種類(素材)を決める

棺桶にはいくつかの種類があり、それぞれに使用されている素材が違います。

棺桶の素材には、

  • 布張棺
  • 木棺
  • エンバー棺
  • エコ棺

などがありますので、まずは棺桶の『素材』を決めましょう。

布張棺

お葬式で1番多く使われるのは『布張棺ぬのばりかん』でしょう。

布張棺というのは、木製の棺の表面に『布帛ふはく』を張り付けて覆ったものをいいます。

『布帛』とは、麻・木綿・絹で作られた布のことで、織り方・色・柄などによっていろんなバリエーションの棺を作ることができます。

ですから、故人の好きだった色や柄などを選べたり、あるいは祭壇の雰囲気に合わせた棺桶を選ぶことができます。

また、木製のものより優しくて柔らかい雰囲気があるので、性別や年代を問わずに広く使用されています。

ちょっき

色や柄の自由度が高いのは布張棺の大きな魅力です。

ただし、底の部分には布帛を張りませんから、底の部分だけ木目が出ていても、それは手抜きや不良品ではないのでご安心ください。

木棺

布張棺の次によく使用される棺桶は『木棺もっかん』です。

木棺とは、表面に布を貼らずに、そのまま木目が出ている木製の棺桶のことをいいます。

木棺に使用される木材は、

  • 桐(きり)
  • 樅(もみ)
  • 檜(ひのき)

などの良質なものが多いです。

これらの良質な木材を使用している場合、棺桶の値段は数十万円~百万円くらいしますので、棺桶としては高級な部類となります。

私は今まで800回以上お葬式をしてきましたが、これらの高級な木棺を見る機会は少なかったです。

しかし、ベニヤを張り付けている木棺であれば3万円程度からあり、私がよく見るのはそちらの木棺の方です。

また、木棺の場合は、木目がそのまま棺桶の色や柄となるのですが、正直なところ木材ごとの違いが見た目ではあまり分かりません。

ちょっき

ただし、棺桶に『彫刻』があると見た目も金額もガラッと変わり、繊細な彫刻であるものほど華やかで高価です。

そして、木棺は出棺をするときに白い『棺覆い』を被せてから霊柩車に乗せるのが特徴です。

余談ですが、お葬式では、棺桶のフタに釘を打ちこむ『釘打ち』という慣習があります。

釘打ちをすることで、棺桶のフタが開かないようにし、死の穢れを封じ込める意味があったのです

以前であれば、棺桶が【木棺】の場合には『釘打ち』をしていましたが、最近では『釘打ち』をする機会が減りました。

エンバー棺

近年では、布張棺や木棺の他に『エンバー棺』もよく使用されるようになってきました。

エンバー棺とは、エンバーミングが施されたご遺体を納めるための布張棺をいいます。

エンバーミングというのは、一定期間ご遺体を常温の状態で衛生的かつキレイに保つための特殊な技術です。

エンバー棺は、ふたが2枚に分かれていて、上部の蓋を外すと故人の顔だけでなく上半身まで見ることができます。

ちょっき

エンバー棺には《透明なアクリル素材の中蓋》があるので、中蓋越しに故人と対面するようになっています。

一方で、布張棺や木棺の場合は、蓋は1枚だけであり、顔だけが見えるような小窓しかありません。

故人の姿を見ることができるのはお葬式の日が最後なので、上半身まで見えるのはエンバー棺のメリットです。

《関連記事》:遺体の保存方法は『ドライアイス』と『エンバーミング』の2つ。

エコ棺

棺桶の素材というのは木材だけではありません。

じつは、素材に段ボールなどの再生紙が使われている棺桶もあり、これを『エコ棺』といいます。

段ボール製なので、火葬をするときに燃焼時間が短く、また二酸化炭素や汚染物質の発生も少ないため、地球環境に配慮したエコな棺桶というわけです。

また、段ボールと聞くと強度的な問題がありそうですが、ちゃんと細部まで補強されており、さらに表面には布帛も張られているので十分な強度があります。

ただし、素材に段ボールを使用して名前が『エコ棺』なのにもかかわらず、値段は他の素材と大差ないかあるいは少し高めです。

ちょっき

値段に関してはエコとは言えません。

棺桶の形状を決める

棺桶の種類(素材)を決めたら、次に棺桶の『形状』を決めます。

棺桶の形状としては、

  • 箱型
  • 山型
  • かまぼこ型
  • インロー型
  • コフィン型(船型)

があります。

棺桶の形状は、執り行うお葬式の雰囲気に合わせて決めてください。

箱型

棺桶といえば、昔からの定番は『箱型』です。

箱型は、四角い長方形の箱に平らな蓋が1枚乗っているだけという非常にシンプルな形状で《平棺》とも呼ばれています。

また、私の経験上、箱型は木棺が多いです。

箱型は見た目がとてもシンプルですから、「棺桶に余計な装飾は必要ないよ。」という人は箱型を選んでください。

山型

箱型に次いで棺桶の定番となりつつあるのが『山型』です。

山型の棺桶は、フタが少し山型(台形)に盛り上がった形になっています。

山型は、布張棺・エンバー棺・エコ棺で使われるのでとても汎用性の高い形状です。

汎用性が高いということは、たくさんの色や柄があるため、それだけ棺桶の選択の幅が広がります。

ですから、棺桶の色や柄にこだわりたい人には山型の棺桶がおすすめです。

かまぼこ型

山型と少し似ている形に『かまぼこ型』があります。

かまぼこ型はその名のとおりフタが【かまぼこ】のように丸く盛り上がっており、『ドーム型』とも呼ばれる形状です。

山型よりも角がなくて丸みがあるので、全体的に優しい雰囲気の構造となっているため、故人が女性である場合によく使用されています。

また、私が見てきた限りでは、エンバー棺には『かまぼこ型』が多い印象です。

ちょっき

ただし、かまぼこ型は【花束を乗せにくい】というデメリットがあります。

お葬式後の出棺のときや棺桶が火葬炉に納められるときにはフタの上に花束を置きますが、フタが丸く盛り上がっているため花束が乗せにくく、手を添えないと落ちてしまうんです。

花束に関しては葬儀社のスタッフや火葬場のスタッフに少し迷惑をかけてしまいますが、柔らかく優しい雰囲気のお葬式にしたい場合は『かまぼこ型』がおすすめです。

インロー型

超有名な時代劇【水戸黄門】において、格さんが悪人たちに向けて「この紋所が目に入らぬか!」と見せるものといえば何でしょう?

そうです、印籠いんろうです。

じつは棺桶には、印籠に形が似ている『インロー型』と呼ばれる形状があります。

インロー型は、フタの左右両端が二段になっていて、棺の本体にフタが覆いかぶさるような構造です。

また、かまぼこ型ほどではありませんが、フタが少しだけ盛り上がっており、印籠のようにフタがはめ込まれていることから『インロー型』という名前が付けられました。

箱型のようにシンプルでありながらも、少しアクセントが加わったデザインで、故人が男性の場合によく使用されています。

コフィン型(船型)

あなたは外国の映画に出てくるような棺桶といえばどんな形をイメージしますか?

六角形で、幅は頭の方が広く、足元にかけて狭くなる形ではありませんか?

その棺桶の形は『コフィン型』あるいは『船型』といいます。

このコフィン型の棺桶は日本のお葬式ではあまり使用されず、私はまだ1度も見たことがありません。

主にイギリスなどで使用されるものなので、日本の多くの人は、よほどのこだわりがない限りコフィン型を使用することはないでしょう。

組み立て式

棺桶は亡くなった人が納められるものなので、サイズ的に保管しておくのが大変です。

そこで、普段は折りたたんだ状態で、使用時には簡単に組み立てられる『組み立て式』の棺桶もあります。

とはいうものの、棺桶が折りたためることをメリットに感じるのは、棺桶を保管をしている葬儀社などの業者であり、遺族にとっては組み立て式であることがメリットになることはありません。

棺桶の大きさを選ぶ

人はそれぞれに体格が違いますので、棺桶は《故人の体格》に合わせて選ぶ必要があります。

棺桶の大きさは『尺』で表すことが多く、1尺は約30cmなので、故人の身長に合わせて棺桶のサイズを葬儀社に伝えてください。

注意点としては、必ず故人の身長よりも大きいサイズを選ぶようにしてください。

しかも、身長より1cm~5cm大きいというレベルではなく、身長よりも15cmくらい大きいものを選んでください。

なぜなら、ご遺体には【死後硬直】という現象が起こるからです。

人が亡くなると、まずは布団にご遺体を仰向けに寝かせますが、このとき故人は全身の力が抜けている状態で寝かせられています。

すると、足首がつま先立ちの状態、つまり背伸びした状態となり、そのまま死後硬直が起きます。

背伸びをした状態なので、身長よりも15cmくらいは大きい棺桶でないとご遺体がうまく納まらないんですよね。

また、棺桶のサイズにはだいたい下記の4種類がありますので参考にしてください。

サイズcm
並棺
普通サイズ
~175cm
長尺棺
普通より少し大きいサイズ
~180cm
大棺
普通より大きいサイズ
~190cm
特大棺
1番大きいサイズ
190cm以上

ちなみに、これは棺桶の【内側の寸法】なので注意してください。

棺桶の値段で選ぶ

棺桶の値段というのは、素材や形状によって大きく違います。

ですから、どのような棺桶を選ぶかでお葬式全体の費用にもかなりの影響が出てきます。

また、互助会の契約コースの中には必ず棺桶が含まれていますが、コースによって使用される棺桶のグレードが変わります。

棺桶は故人が納められている大事なものですから、後悔のないように棺桶の値段について知っておくことも大事です。

棺桶の種類ごとの値段の相場は以下のとおりです。

種類(素材)値段
布張棺2万円〜30万円
木棺3万円〜100万円
エンバー棺10万円〜40万円
エコ棺5万円〜20万円

ご覧のように、同じ種類の棺桶でも値段に大きな開きがあります。

値段が高いほど品質のよい棺桶になりますが、棺桶というのは結局最後は燃やしてしまうものです。

ですから、どのくらいの値段のものを使用するか、お葬式の予算と家族の意見をよく考慮して棺桶を選びましょう。

おすすめは布張棺で山型の棺桶

これまで、棺桶について詳しく解説をしてきました。

しかし、「自分では選べないから、どの棺桶がいいのか教えてほしい。」という人もいますよね。

どんな棺桶を選ぶのかは本当に自由なのですが、僧侶の私が選ぶとしたら『布張棺』で『山型』の棺桶です。

布張棺であれば、いろんな色や柄がありますので、好みに合わせた棺桶を選ぶことができます。

そして、山型はフタが少し盛り上がっており、なおかつ台形なので、

  • 棺桶の中にお花をたくさん入れても蓋が浮き上がらない。
  • 故人にとっても、箱型よりも窮屈ではない。
  • フタの上に花束がしっかりと安定して乗る。

という利点があります。

そのせいか、山型は今や【棺桶のスタンダード】と言えるくらい多くのお葬式で使用されているんです。

ちなみに、棺桶を『布張棺』の『山型』でお葬式をした場合、出棺時にはだいたいこの画像のような光景になります。

山型の布張棺を持って出棺をする喪服を着た人達

ただし、実際の出棺のときには、この画像のように女性が棺桶を持つことはあまりなく、ほとんどの場合は男性が棺桶を持ちます。

棺桶は故人や家族の希望にそって選んでかまいませんが、特にこだわりがなければ『布張棺』で『山型』のものを選びましょう。

まとめ

お葬式や火葬をするにあたり、ご遺体を納める『棺桶』が必要です。

棺桶というのは、種類(素材)と形状で選ぶことになります。

棺桶の素材には、

  • 布張棺
  • 木棺
  • エンバー棺
  • エコ棺

があります。

そして、形状には、

  • 箱型
  • 山型
  • かまぼこ型
  • インロー型
  • コフィン型(船型)

があります。

このように、棺桶の素材や形状にはいくつかの種類がありますが、色や柄の選択肢の多さと利便性を考慮すると『布張棺』で『山型』のものがおすすめです。

棺桶は亡くなった人が納められる非常に大事なものですから、本記事で紹介している棺桶の選び方を参考にし、後悔のないように家族でよく話し合って決めましょう。

※互助会のコース内容についてはこちらの記事をご参考にどうぞ。

【入会前に必読!】互助会の積立てコースによくある内容を紹介

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