- お坊さんにお葬式を依頼するには、具体的に何をすればいいの?
- 今まで特にお坊さんと付き合いがない場合はどうするの?
- お坊さんへ失礼のないようにお葬式の依頼をしたい。
お葬式をするときは『お坊さん』に来てもらうのが一般的です。
しかし、お坊さんにお葬式の依頼をしたくても、具体的に何をすればいいのか分かりませんよね。
また、喪主は他にもやるべきことが山ほどあるので、お坊さんへの依頼は短時間で確実に行いたいところです。
この記事では、僧侶の私が【お坊さんにお葬式を依頼するときの手順】について詳しく解説しています。
いざというときでも適切に『お坊さんへのお葬式の依頼』ができるようになりますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
本記事の手順に沿ってスムーズに依頼をしてください。
まず、どのお坊さんにお葬式を依頼するかを決める
仏式でのお葬式の場合、まずは【お葬式を依頼するお坊さん】を決めなくてはいけません。
お葬式の依頼をするお坊さんは、
- 菩提寺のお坊さん
- 葬儀社から紹介されたお坊さん
- 霊園から紹介されたお坊さん
- 自宅から最寄り寺院のお坊さん
- 知り合いのお坊さん
のいずれかになるでしょう。
菩提寺のお坊さん
あなたの家のお墓が【お寺の墓地】にある場合、そのお寺はあなたにとって『菩提寺』となります。
菩提寺は、あなたの家の『お葬式』や『法事』などをすべて行うお寺なので、あなたがお葬式を依頼すべきは『菩提寺のお坊さん』です。
菩提寺へお墓参りをしたときなどに、お葬式のことについて前もって相談をしておきましょう。
そのときには、お葬式だけではなく、法事やお寺の行事のことも一緒に確認をしておくといいですよ。
葬儀社から紹介されたお坊さん
読者さんの中には【まだお墓がなくて菩提寺もない】という人もいるはず。
そのような人は、いざというときは葬儀社からお坊さんを紹介してもらうといいですよ。
あまり知られていませんが、じつは葬儀社には必ず『提携しているお寺』があるんです。
もちろん、いろんな宗派のお寺と提携していますから、あなたの希望する宗派のお坊さんを手配をしてくれますよ。
しかも、葬儀社と提携しているお寺は【優良なお寺】ばかりなんですよね。
なにしろ《お客様に紹介するお寺》ですから、ちょっとでも変なことをするお寺なんてすぐに提携解除です。
ですから、菩提寺がない場合は葬儀社から紹介されたお寺のお坊さんに依頼することを最初に検討してみてください。
正直言って、葬儀社から紹介されたお寺が一番安心できると思いますよ。
霊園から紹介されたお坊さん
お墓があるのはお寺だけではありません。
近年増加している『霊園』にもたくさんのお墓が建てられています。
じつは、霊園にも『提携しているお寺』があるので、あなたの家のお墓が霊園にある場合は、霊園からお坊さんを紹介してもらうこともできます。
もちろん、葬儀社と同じように希望する宗派のお坊さんを紹介してもらえますよ。
もともと霊園の場合は【法事をしてもらうため】にお寺と提携しているのですが、お葬式の依頼も可能なんですよね。
ただし、【葬儀社から紹介されるお寺】に比べると【霊園から紹介されるお寺】の方が信用度は少しだけ落ちます。
お葬式は扱う金額が大きいからでしょうか、霊園よりも葬儀社の方が【お寺に対する審査基準】が圧倒的に厳しいのです。
ただし、厳しい審査をクリアしたお坊さんなので【お布施】は少し高くなります。
自宅から最寄りの寺院のお坊さん
菩提寺はなく、まだお墓もない、そして「お葬式を依頼するのはどこのお寺でも構わない。」という人は、自宅から最寄の寺院のお坊さんに依頼してもよいでしょう。
そして、お葬式だけではなく法事も依頼しようと考えているなら、なおのことお寺が近いに越したことはないです。
ただし、今までまったくお付き合いがないお寺ですから、そこがどんなお寺で、どういうお坊さんがいるのかが分かりません。
さらに、そのお寺が【檀家以外の人】のお葬式をしてくれるかどうかも分かりません。
私だったら依頼を受けますが、僧侶の中には強い信念で『檀家だけ法要をする』という人が多いのも事実です。
もしもそのお寺が許可をしてくれたら、それはきっと仏様が導いたご縁なので、お葬式のときには遠慮なく依頼をしましょう。
知り合いのお坊さん
あなたの知り合いにお坊さんはいますか?
もしもいるなら、そのお坊さんの人柄や考え方はもう分かっていますよね。
あなたに菩提寺がなければ、せっかくですから知り合いのお坊さんに依頼するというのもいいと思います。
その方があなたは安心して任せられますし、お坊さん側も正直なところ知り合いだと気合の入り方が変わります。
お寺(お坊さん)にお葬式を依頼するときの手順
お坊さんにお葬式を依頼するときは、
- 葬儀社を決める
- 葬儀社と打ち合わせをし、仮の日程を決める。
- お寺の都合を聞いて【正式な日程】と【葬式の形式】を決める。
- お寺へ出向き、お葬式の具体的な打ち合わせをする。
の手順で行いましょう。
葬儀社を決める
お葬式をするには、依頼するお坊さんだけではなく【施行を依頼する葬儀社】を決めなければいけません。
お葬式をするときになって慌てて葬儀社を決める人も多いのですが、依頼をする【葬儀社】を事前に決めておくことをおすすめします。
お葬式をするとなれば、喪主はたくさんのことを一度に決めなくてはいけないので、ついつい葬儀社から言われるがままに進めてしまいがちです。
その結果、予算を大きく上回る金額になってしまうこともよくあります。
何でもそうですが、その場で慌てて決めてしまうような【場当たり的な決め方】ではムダが出てしまいます。
ですから、事前に複数社へ資料請求をし、その中から希望に合った葬儀社を選び出し、見積書や資料などを保管しておいてください。
また、依頼する葬儀社はできるだけ【互助会がある葬儀社】を選び、今のうちから互助会に入会しておくと安心です。
互助会に入会しておけば、いざというときでも急な大出費をせずにすみ、充実した施設を格安料金で使用できます。
しっかりお葬式の準備をしておきたい人は、互助会への入会を検討してみてください。
葬儀社と打ち合わせをし、仮の日程を決める
お葬式をするにあたり、お坊さんよりも先に葬儀社と打ち合わせをし、まずは『お葬式の日程』を決めます。
ただし、お葬式の日程はあなたの希望通りに決まるとは限りません。
なぜなら、あなたが希望する日に火葬場が空いているとは限らないからです。
火葬場の空き状況は葬儀社の人なら分かりますので、あなたの希望の日程を伝えて確認をしてもらいましょう。
もしも、あなたの希望する日に火葬場が予約でいっぱいだった場合は、他の日に変更しなくてはいけません。
火葬場の空き状況を確認してもらったら、とりあえずあなたが希望する日程で【仮の日程】を決めましょう。
お寺の都合を聞いて、【正式な日程】と【お葬式の形式】を決める
とりあえず【仮の日程】が決まったらお坊さんへ連絡し、その日程でお葬式をしてもらえるかを確認しましょう。
この連絡は《電話連絡》でかまいません。
お坊さんとの予定が合えば、【仮の日程】をそのまま【正式な日程】として確定させます。
もしも予定が合わなければ、あなたとお坊さんで【他の仮の日程】を決めて、葬儀社に改めて火葬場の空き状況を確認してもらい、もう一度日程を決めましょう。
日程を決めるときは、あらかじめ複数の候補日を作っておくとスムーズに決められますよ。
お坊さんと話し合い、お葬式の日程が決まったら、すぐに葬儀社へ連絡をして火葬場の予約をしてもらってください。
また、このタイミングであなたが希望する【お葬式の形式】をお坊さんに伝えておくといいです。
お葬式の形式というのは、
- 一般的なお葬式:お通夜とお葬式の両方を行う
- 家族葬:家族だけなど、故人にごく近い人たちだけで行う
- 一日葬:お通夜をせず、お葬式だけを行う
などです。
形式によってお葬式のやり方を大きく変えることはありませんが、お坊さんとしては喪主がどんな供養を希望しているのかを知っておく必要があります。
しかも、じつはそれで『喪主が仏事に対してどのように考えているのか』が何となくわかるんですよね。
それに、お坊さんとしてはお葬式の形式に合わせた準備をしておきたいんですよね。
ただし、お坊さんによっては『一般的なお葬式』しか認めない人もいますので、そのあたりはちゃんと確認しておきましょう。
夜遅くには連絡をしない
お坊さんへお葬式の依頼をするときは、急いで夜中に連絡する必要はありません。
昔は、身内に不幸があれば真夜中であってもすぐにお坊さんに連絡をしていましたが、今はそんなことはしません。
お坊さんとしても、夜中に連絡を受けても、喪主家族との打ち合わせや諸々の準備は、結局のところ翌日にならないと何もできないんですよね。
もしも夜中に亡くなったとしても、お坊さんへの連絡は翌日になってからで大丈夫ですから、しばらくは故人のそばにいてあげてください。
お寺へ出向き、お葬式の具体的な打ち合わせをする
お葬式の日程や形式について連絡をしたら、その後にお寺へ出向いて詳細な打ち合わせをします。
電話でも詳細な打ち合わせはできますが、できればお寺へ出向き、お坊さんと直接会って話をした方がいいですよ。
お寺へ出向いて、
- 戒名について話し合う
- お坊さんの送迎が必要かどうかを聞いておく
- 何人のお坊さんで来るのかを聞いておく
- 火葬場まで来るのかを確認する
- お布施の確認をする
といった詳細な打ち合わせをしましょう。
戒名について話し合う
お坊さんとの詳細な打ち合わせのメインとなるのは『戒名』に関する話です。
戒名というのは【仏弟子としての名前】であり、仏道に入った人が名乗る名前です。
ですから、私の場合はいつも戒名について話をする時間が長くなります。
お坊さんは、打ち合わせのときに故人の【人柄】や【趣味】や【仕事】などを聞いた上で、なるべくその人を連想しやすいように戒名をつけるんですよね。
ですから、より良い戒名をつけるには、故人に関することをお坊さんへできるだけ詳細に伝えてあげることが大事です。
お坊さんの送迎が必要かどうかを聞いておく
お葬式があると、多くのお坊さんは自分で車を運転して式場に行きます。
しかし、昔は喪主やその家族が【式場までお坊さんを送迎する】ということも多かったんですよね。
ですから、念のため【お坊さんの送迎】が必要かどうかを聞いておきましょう。
ほとんどのお坊さんは「自分で運転して行きますから大丈夫ですよ。」と言うと思いますが、念のためにです。
送迎というのは、運転者もお坊さんもお互いに気を使うので、正直なところ、お坊さんも自分で運転した方が気楽なんですよね。
ただし、高齢のお坊さんの場合は送迎が必要なケースがあるので、お坊さんを見て「もしかすると送迎が必要かな?」と思ったら、念のため送迎を申し出てあげてください。
何人のお坊さんで来るのか聞いておく
お葬式に来るお坊さんは1人だけとは限りません。
お寺に複数のお坊さんがいたら、もしかすると2名や3名で来るかもしれません。
しかも、地域によっては、近くのお寺のお坊さんも来て一緒に読経をするところもあるんですよね。
頼んでもいないのに勝手に来るのですから迷惑な話です。
お坊さんが複数いる場合は、式中にお坊さんが座る席の数も増やさなくてはいけません。
また、お坊さんにも食事の席についてもらう場合、お坊さんの人数分だけの料理を手配しなきゃいけません。
基本的に料理は急に数を増やすことができませんので、【お坊さんが何人来るのか】ということを必ず聞くようにしましょう。
火葬場まで来るのかを確認する
お葬式が終わったら、その後は火葬場へ行きます。
しかし、お坊さんによっては火葬場までは行かないという人もいます。
ですから、事前に【お坊さんが火葬場まで来るのか】を確認しておきましょう。
火葬場では、収骨までの間に喪主が『精進落とし(食事)』や『おしのぎ(軽食)』を振る舞いますので、それらの料理の数を決めるにあたり、お坊さんの分も含めて先に人数を確認しなくてはいけません。
少し聞きづらいかもしれませんが、「火葬場には来ていただけるのでしょうか?」と確認をしておきましょう。
《関連記事》:お葬式の料理費用の相場はどれくらい?通夜振舞いや精進落としの金額
お坊さんに渡す『お布施の金額』を確認をする
多くの人にとって1番気になるのが『お葬式でお坊さんに渡すお布施はいくら納めればいいのか』ということです。
お布施に関しては、ストレートに「お布施はどのくらい納めればいいでしょうか?」と聞いてしまいましょう。
お坊さんによっては、「◯◯万円くらい納めてもらえますか?」としっかり目安を言う人もいれば「お布施なので『気持ち』で納めてください。」という人もいます。
お坊さんから「気持ちで納めてください。」と言われてしまったら、仕方ないのでお布施の相場をインターネットなどで調べてください。
もしかすると、お布施の相場があなたの予想以上に高いかもしれません。
そんなときは、お坊さんに『値引き交渉』をしてみてください、おそらく【20%引き】くらいならすんなり応じてくれますから。
ただし、葬儀社や霊園から紹介してもらったお坊さんには値引き交渉をしないでください。
また、お布施を渡すタイミングについても聞いておきましょう。
私の場合は、お通夜かお葬式の始まる前に【僧侶の控室】で受け取ることが多いですが、他のお坊さんがどう言うかは分かりません。
もしかすると、お坊さんの方から「◯◯のときにお願いできますか?」と指定されるかもしれませんので、念のためお布施を渡すタイミングを確認しておいた方がいいと思います。
《関連記事》:お葬式で渡す『お布施』の金額はどのくらい?宗派や地区別に相場を紹介
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まとめ
お坊さんにお葬式の依頼をする際は、しっかりとお坊さんと打ち合わせをしなくてはいけません。
まず、お坊さんに依頼をする前に、葬儀社と相談してお葬式の【仮の日程】を決めます。
次に、お葬式を依頼するお坊さん(お寺)へ連絡して『正式な日程』を決めましょう。
依頼をするお坊さんは、
- 菩提寺のお坊さん
- 葬儀社から紹介されたお坊さん
- 霊園から紹介されたお坊さん
- 自宅から最寄り寺院のお坊さん
- 知り合いのお坊さん
のいずれかになるでしょう。
正式な日程が決定したら、お寺へ出向いて詳しい打ち合わせをします。
お坊さんと打ち合わせをする内容は、
- 戒名について
- お坊さんの送迎が必要かどうか
- 当日はお坊さんが何人来るのか
- お坊さんは火葬場まで来るのか
- お布施の金額
です。
お葬式は、前日までの準備はもちろん、お葬式の当日も非常にバタバタします。
特に喪主は数日間で決めなきゃいけないことがたくさんありますので、人によっては頭がパンクしてしまいます。
そうならないためにも、今のうちから【どうやってお坊さんにお葬式を依頼するのか】を確認しておきましょう。
自分自身や家族が亡くなることを想定して事前に準備をするのは心苦しいかもしれません。
しかし、いざというときに慌ててしまう人が多いので、しっかりとお葬式を執り行えるように、今からちゃんと確認と準備をしておきましょう。
※お葬式の準備のため互助会を利用する人が多いです。