
戒名は必ずつけなきゃダメですか?



戒名をつけるかどうかは自由ですよ。
お葬式をするときは、お坊さんに故人の『戒名(かいみょう)』をつけてもらうのが一般的です。
しかし、戒名をつけてもらうには高いお布施を支払う必要があります。
そのため、戒名をつけることの意味や必要性に疑問を感じる人はとても多いんですよね。
じつは、戒名は【絶対に必要】というわけではありません。
戒名をつけるかどうかで迷わなくなりますので最後まで読んでみてください。
- 戒名をつける意味が分かります
- 戒名が『絶対に必要』というわけではない理由が分かります
- 自分は無宗教だから戒名なんて必要ないよ。
- 故人の強い遺志だから戒名はつけなくていいでしょ?
- そもそも戒名をつける意味はあるの?
この記事を書いている私『ちょっき』は僧侶になって29年です。お葬式を800回以上お勤めしてきた経験をもとに互助会に関する情報を発信しています。
戒名は【絶対に必要】というわけではない
多くの人は『戒名』に対して、
- よく分からないけど、【亡くなった人につける名前】らしい。
- 戒名をつけてもらうには高いお布施を納めなくてはいけない。
というイメージがあることでしょう。
たしかに、戒名は一般的に【亡くなった人につける名前】であり、戒名料も決して安いものではありません。
しかし、多くの人は戒名について少し誤解があります。
それは、戒名は【絶対に必要】というわけではないということ。
じつは、【仏式】でお葬式をしなければ『戒名』をつける必要はないのです。
戒名というのは【仏門に入った人へ授ける名前】のことをいいます。
なので、戒名が不要だと思うなら『仏式のお葬式』はせず、亡くなった人を仏門に入れなければいいんです。
仏式でお葬式をしないというのは、お坊さんに来てもらわないということです。
お坊さんに来てもらうと『仏式のお葬式』となってしまい、「故人様にちゃんと戒名を付けてあげましょうよ。」と言われてしまいます。
ですから、故人に戒名を付けない場合は【お寺】へ依頼せずにお葬式を執り行うようにしてください。



『戒名』を避けるためには、お寺との関わりを持たないのが一番です。
最近では、お坊さんに来てもらわず、親族や知人による《告別式》だけをするケースも増えています。
あるいは、告別式も省略して、初めから火葬場へ直行する『直葬(ちょくそう)』という方法もあります。
このように、基本的に戒名は【絶対に必要】というわけではなく、ご家族の考えや故人の遺志で決めてかまわないものなんです。
『お寺にお墓がある場合』は戒名をつける
基本的に、戒名は【絶対に必要】というわけではありません。
しかし、あなたの家のお墓が《お寺》にある場合は戒名が必要です。
多くのお寺では『寺にあるお墓へ納骨する場合は、必ず戒名を授ける』という規則があります。
お寺は『仏教』の宗教施設なので、お寺の敷地内にお墓を持つためには、仏教を信仰し、そのお寺【宗派】の信者であることが条件となります。
そして、戒名をつけることも条件の1つであり、これを無視してお寺のお墓に納骨をすることは原則としてできません。
なので、どうしても『戒名』が要らないのであれば、お墓を撤去してお寺との付き合いを解消するしかないです。



お寺との付き合いを解消し、お墓を撤去することを『離檀(りだん)』といいます。
離檀をしたら、ご遺骨は霊園などの『無宗教』でも使用できる墓所へ納骨してください。それでもう、今後ずっと『戒名』とは無縁でいられます。



離檀まではしなくていいけど、せめて戒名料を安くしてもらえないかな?
という声が聞こえてきそうです。
戒名料などのお布施は適切に交渉すれば安くしてもらえますので、詳しくは別記事の『【僧侶がこっそり教えます】高すぎるお布施を値切る交渉術』を読んでみてください。
『戒名』をつけることの意味
ここからは『戒名をつけることの意味』について説明します。
先ほど少しお伝えしたように、【仏式】のお葬式は故人に仏門へ入ってもらうことが目的です。
仏門に入るということは、故人が【仏弟子】になることを意味します。
仏弟子になった人は、仏の世界で過ごす上で『戒律』という約束事を守らなければなりません。
だから、仏弟子になる人には、《戒律》を守る者の《名前》ということで『戒名』を授けるんですよね。
そして、戒名を授かった故人は、修行が始まると同時に、たくさんの仏様に守られるのです。
ちなみに、本来の戒名は【亡くなった人の名前】というわけではありません。
『戒名』は生きている人でも授かることができます。



要するに【仏門に入った人】であればいいのです。
さらに言うと、誤解している人が多いのですが【仏門=死後の世界】ではありません。
仏門というのは、私たちが今生きている世界も含んでいます。
仏門は【この世】や【あの世】あるいは【過去】や【現在】などの境界線がなく、空間や時間の概念を超えてどこまでも広がっているんです。
そして仏様は、いつでも、どこでも、私たちのすぐそばにいて見守ってくださいます。
ですから、生きているうちでも、私たちお坊さんのように仏門に入ると『戒名』が授けられます。
仏門に入り、仏様の教えを信じて修行をする、これを死後ではなく生きているうちにするのはごく当たり前のことなんですよね。
まとめ
『戒名』は絶対に必要というわけではありません。
戒名は、仏門に入った人の名前、つまり【仏弟子】としての名前です。
故人に仏様のもとで安心して過ごしてほしいと思うなら、仏式のお葬式で『戒名』を授けて仏門に入ってもらいましょう。
もしも、戒名が不要だと思うなら【仏式のお葬式】をせず、他の形式でお葬式をしてください。
あなたには《信教の自由》があります、もちろんあなたのご家族にも。
大切な人をどのような形で弔うかは自由に決められますので、あなたとご家族全員がよく話し合ってから決めてほしいと思います。
※お葬式のお布施についても気になりませんか?