あなたは、もしも大切な家族が亡くなったとき、いつもどおり冷静に判断し、適切な行動をとれますか?
たぶん、何をすべきか分からず、気持ちだけが焦ってしまいますよね?
近年では『病院』で亡くなる人が多く、その際に病院側から遺体の搬送を急かされることもよくあります。
そのため、とりあえず【病院紹介の葬儀社】に遺体を搬送してもらい、そのままお葬式の依頼もする人が多いのです。
しかし、この【病院紹介の葬儀社】を巡って思わぬトラブルを招くこともあります。
本記事では【病院紹介の葬儀社】でお葬式をしたときのトラブルの事例を紹介し、その対策についても解説しています。
最後までお読みいただき、後悔のないお葬式を執り行ってください。
本記事では【病院紹介の葬儀社】を巡るトラブルの事例を紹介していますが、多くの葬儀社は遺族の気持ちに寄り添った丁寧な対応をしてくれます。
本記事は「そんなこともあるのだな。」と、参考程度に読んでみてください。
この記事を書いている私『ちょっき』は僧侶になって30年です。お葬式を800回以上お勤めしてきた経験をもとに互助会に関する情報を発信しています。
【病院紹介の葬儀社】のお葬式で起きたトラブルの事例
まずは、病院紹介の葬儀社でお葬式をしたときに起きたトラブルの事例を紹介します。
追加請求で葬儀費用が大きく膨らんだ
上田さん(65歳男性)のケース。
私の父が亡くなり、病院から紹介された葬儀社に依頼したところ『80万円程度』と説明されました。
しかし、お葬式後の請求はなんと『150万円』だったのです。
驚いて内訳を確認したところ、最初の見積もりにはなかった祭壇や棺のグレードアップ、マイクロバスのレンタル、その他の雑費などがいろいろ加算されていました。
追加料金の説明を受けたかもしれませんが、父を亡くした悲しみの中で正常な判断なんかできません。
何となく『どさくさに紛れてダマされた』ような気分になり、不満と後悔の残るお葬式になってしまいました。
最初に葬儀社が出す見積もりは、基本的な内容に関するものが多いです。
しかし、遺族の希望に合わせて内容を変えると追加料金(オプション料金)が発生します。
遺族としては、「大切な家族のお葬式だから納得のいくものしたい。」という思いがあるので、ほとんどの人は内容を変更して追加料金を支払います。
そして、あれもこれもと追加していくうちに葬儀費用は大きく膨らんでしまうのです。
見積もりが提示されないまま依頼
荒井さん(72歳女性)のケース。
私の母が亡くなり、入院していた病院から紹介された葬儀社へお葬式の依頼をしました。
葬儀社スタッフから「荒井様のご希望をふまえた内容の見積書を後で渡します。」と言われ、お葬式までの日数があまりなかったので、詳細を確認する前に契約をすることに。
しかし、私の希望とは違うものが入っていたり、祭壇なども古めかしく、さらに葬儀式場も使い勝手がよいとは言えず、正直なところ不満の残るお葬式でした。
それなのに、お葬式の後に100万円を超える請求が来たのです。
参列者は家族と親戚だけの20名程度、しかも一日葬だったにもかかわらず高額な請求が来たことに驚きました。
見積もりを見せてもらっても、何が含まれていたのかよく分からず納得できませんでした。
でも、すでにお葬式を済ませている以上、支払いをせざるを得ません。
ちゃんと見積もりの内容を確認してから契約をすればよかったと悔やんでいます。
亡くなってからお葬式の日までは、ほんの数日間しかありません。
わずかな期間で葬儀社とお葬式の内容について打ち合わせをしますので、場合によっては見積もりが後回しにされるケースもあります。
しかし、内容をよく知らないまま契約をすると納得のいかない結果となるかもしれません。
どうしても見積書を先に見ることができない場合は、せめて合計金額くらいは教えてもらいましょう。
断りづらくて依頼した
石川さん(55歳男性)のケース。
昨年、父が亡くなりました。
そのときに病院のスタッフから「葬儀社を紹介しましょうか?すぐに対応してくれますよ。」と言われました。
せっかく病院が紹介してくれるということもあり、他の葬儀社と比較することなくお葬式の依頼することに。
しかし、後になって調べてみると、もっと安くて希望に沿ったプランが用意されている葬儀社があったのです。
お世話になった病院から紹介された葬儀社だったので断りづらくて依頼しましたが、ちゃんと調べておけばよかったと後悔しました。
病院で亡くなった場合、病院が葬儀社を紹介することはよくあります。
特定の葬儀社との付き合いがない人は、病院から紹介された葬儀社に依頼することが多いです。
お世話になった病院からの紹介なので、何となく断りづらく、また、信頼もあるだろうと思い、そのまま依頼をするのです。
たしかに、病院は信頼のある葬儀社を紹介すると思いますが、それが遺族にとって適した葬儀社だとは限りません。
お葬式はいつか必ずおこなうものですから、いざというときに依頼する葬儀社は事前に決めておくとよいでしょう。
病院紹介の葬儀社でトラブルが起こる原因
病院紹介の葬儀社へ依頼してトラブルが起きてしまう原因は、主に以下の3つです。
- 時間的な余裕がない
- 断りづらい
- 明確な見積もりが出ないことがある
時間的な余裕がない
病院紹介の葬儀社でトラブルが起きてしまう原因の1つは『時間的な余裕がない』ということです。
病院で亡くなった場合、いつまでも遺体を病院に安置しておくわけにはいきません。
死後の処置が施された後は、すみやかに遺体を病院外のしかるべき場所へ搬送する必要があります。
そうなると、自家用車で遺体を搬送することは難しいので、早急に葬儀社を手配して遺体を搬送しなければなりません。
そのため、最も早く手配ができる【病院紹介の葬儀社】へ依頼することが多くなります。
しかし、その葬儀社が提供している葬儀プランや料金体系が家族の希望に合わないこともあり、いろんな葬儀社を比較検討できなかったことを悔やむ結果となるのです。
断りづらい
病院紹介の葬儀社でトラブルが起きる原因には『断りづらい』ということもあります。
病院のスタッフは患者のために懸命に看病や介護をしてくれます。
そうやってお世話になった病院から紹介された葬儀社なので、信頼できますし、病院に対して恩義も感じることでしょう。
しかし、その葬儀社が家族にとって最適な葬儀社であるとは限りません。
もしも葬儀社に対して何らかの不満や不信感を抱いても、お世話になった病院から紹介されているので断りづらくなります。
そして、不本意なままお葬式を執り行い、結果的に不満の残るものとなってしまうのです。
明確な見積もりが出ないことがある
病院紹介の葬儀社でトラブルが起こる原因として『明確な見積もりが出ないことがある』という側面もあります。
病院紹介の葬儀社は早急な対応を迫られるので、葬儀社側がすぐに対応を始め、詳細な見積もりや説明を後回しにする場合があります。
そのため、後になってから何がどのような内容で価格がいくらなのかが分かりません。
葬儀費用はとても複雑であり、追加料金もたくさん発生するため、最初の見積もりの金額では不十分で、それがトラブルにつながります。
明確な見積もりが出ないことでトラブルを招き、結果的に不満と後悔の残るお葬式となってしまうのです。
トラブルを防ぐための対策
病院紹介の葬儀社とのトラブルを防ぐためにはどのように対策をすればよいのでしょうか?
とりあえず遺体の搬送だけを依頼する
病院としては、あまり長い時間遺体を安置できないため、なるべく早く遺体を搬送してもらいたいと思っています。
ですから、病院紹介の葬儀社には、とりあえず遺体の搬送だけを依頼しておきましょう。
その後、まずは一呼吸おいて、それから病院紹介の葬儀社を含めて複数の葬儀社から『お葬式を依頼する葬儀社』を選ぶようにしてください。
とはいえ、何日もかけて葬儀社を選ぶわけにはいきませんので、できるだけ早く葬儀社を選ぶ必要があります。
しかし、とりあえず遺体の搬送だけにしておくことで、病院からの流れで簡単に葬儀社を決めてしまうリスクは避けられるでしょう。
必ず見積もりを出してもらう
基本的に葬儀プランの内容には必要最低限のものだけが入っています。
そして、そこからいろんな内容を追加していくのが一般的で、内容の追加に応じて料金も加算されていきます。
すると、途中から自分が何を追加して、全体の葬儀費用がいくらになるか分からなくなるのです。
そのため、じつは予想以上に葬儀費用が大きくなっていて、請求書を見て驚くことになります。
ですから、お葬式までの日数は限られていますが、ちゃんと見積もりを出してもらうようにしましょう。
あらかじめ家族で話し合い、事前に葬儀社を決めておく
お葬式のトラブルは、慌ててしまい内容をよく確認しないまま契約することで起きています。
ですから、葬儀社や葬儀プランなど、お葬式に関することを事前に決めておけばトラブルを回避できます。
特に、葬儀社については事前に家族で話し合って決めておくことが大事です。
事前に葬儀社を決めておけば、いざというときでも慌てることなく遺体の搬送を手配できます。
また、事前に葬儀プランを決めておくことで、落ち着いて行動できるのだけでなく、葬儀費用も把握できるので安心です。
お葬式はいつも突然やって来ますので、しっかりと事前に準備をしておきましょう。
互助会に入会しておけば安心
大事なお葬式でトラブルが起きないように、事前に葬儀社を決めておきましょう。
葬儀社を決めるにあたり【互助会に入会する】というのも1つの方法です。
互助会とは、簡単にいうと『毎月積み立てをすることで、大きな特典が受けられて葬儀費用を大幅に軽減できる仕組み』のことです。
互助会に入っておけば、互助会の葬儀社にお葬式を依頼することになり、そこでさまざまな特典を受けられます。
また、入会時には契約コースを申し込みますので、コースごとに決められた葬儀内容を事前に知ることもできます。
もしも契約コース以外に追加したい内容がある場合は、別途に費用を支払うことで追加が可能です。
そして、互助会の葬儀社に依頼することが決まっているため、病院で亡くなったときには「もう決まった葬儀社があります。」と伝えられます。
このように、前もって互助会に入会しておけば、精神面そして経済面でも安心できます。
事前に葬儀社を決める際には【互助会に入会する】ということも一緒に検討してみてください。
《参考記事》:互助会って結局なに?知らないと損する互助会の基礎知識をやさしく解説
まとめ
病院から紹介された葬儀社にそのまま依頼すると、場合によってはトラブルが起きてしまうこともあります。
病院紹介の葬儀社とのトラブルには、
- 追加請求で葬儀費用が大きく膨らんだ
- 見積もりが提示されないまま依頼
- 断りづらくて依頼した
といった事例があります。
これらのトラブルが起きる原因は、病院で亡くなるとすぐに葬儀社を決める必要があるからです。
その対策として、
- 病院紹介の葬儀社には『遺体の搬送』だけを依頼する
- 必ず見積もりを出してもらう
- あらかじめ家族で話し合い、事前に葬儀社を決めておく
- 互助会に入会しておく
があります。
特に、互助会に入会しておくことで、あらかじめ葬儀社と契約内容を決めておけるという点で非常に安心です。
家族を亡くした深い悲しみの中で冷静な判断をすることは難しいので、事前の準備がとても大事。
いざというときに慌てることなく、落ち着いて大切な人を送り出せるように、互助会への入会を検討してみてはいかがでしょうか?
※こちらの記事もご参考にどうぞ。