お葬式のときに渡す『引き出物』は参列者に対して失礼のない品物を選びたいですよね。
しかし、どんな内容で、どれくらいの値段のものを渡せばいいのか分からないことでしょう。
引き出物は【定番】みたいなものがあるので、それらの中から【1千円〜5千円】くらいの物を選ぶといいですよ。
本記事は、現役僧侶の私が『お葬式の引き出物』について解説しています。
引き出物に関する知識を身につけておけば、いざというときでも迷わずにすみますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
記事後半では『香典返し』についても書いていますよ。
お葬式の引き出物には何を渡す?
お葬式のときには参列者へ『引き出物』を渡しますが、喪主となる人はだいたい「引き出物には何を渡せばいいんだろう?」と迷ってしまいます。
引き出物を選ぶときは、
- 消耗品であること
- できるだけコンパクトなもの
- 軽量なもの
- 食べ物なら長期保存ができるもの
ということを基準にしてください。
これらをふまえて、いくつか【お葬式の引き出物】を紹介します。
私が普段よく見る『定番』を紹介しますね。
引出物として定番の品物
私は僧侶を29年しており、その間にお葬式の引き出物をたくさん見てきました。
お葬式の引き出物はだいたい同じような品物で、
- お茶&お茶漬けの素セット
- 海苔&海苔の佃煮セット
- 油&調味料セット
- タオルセット
- カタログギフト
これらの5つが定番です。
これらの中から選んでおけば間違いはありませんよ。
お茶&お茶漬けの素セット
お葬式の引き出物として昔からよく選ばれるのは『お茶&お茶漬けの素セット』です。
お茶はどの家庭でも飲まれますし、比較的早く消費されます。
また、お茶と一緒に【お茶漬けの素】があれば、軽食用に使えて便利です。
さらに、サイズがコンパクトなので、帰宅時にあまりジャマになりません。
しかし、最近では【急須を使って茶葉からお茶を煮出す】という人が減ってきています。
飲んだ後の茶葉の片付けが面倒くさいんですよね。
しかも、茶葉は筒状の缶に入っているので、缶の処理をするのも地味に面倒です。
そのため、できるだけお茶を飲む手間を省略しようと、お茶のパックを使ったりペットボトルのお茶を飲む人が増えています。
長い間【お茶】は引き出物の定番でしたが、今後はお茶(茶葉)のニーズがあるかどうかを見極めなくてはいけません。
海苔&海苔の佃煮セット
引き出物には、お茶のような飲み物だけではなく【食べ物】もあります。
代表的なものは『海苔&海苔の佃煮セット』です。
海苔のセットには『梅干し』も一緒に入っていることがあります。
海苔や海苔の佃煮なら《ご飯のお供》になって便利ですし、消費するのも早いです。
また、サイズがコンパクトですし、軽量なので持ち帰りにも便利。
しかも、海苔の佃煮はビンに入っていることが多かったのですが、最近では透明なプラスチック容器に入っていますのでゴミ出しもラクです。
海苔であれば多くの人が食べており、今後もニーズがあると思われますので、引き出物として適しています。
油&調味料セット
私たちの日常生活では、料理をするときに油や調味料というのが不可欠です。
そのため、お葬式の引き出物として『油&調味料セット』というのもよく選ばれています。
サイズもさほど大きくはなく、消費も早いので参列者にも喜ばれる品物です。
ただし、油は少し重量があるため、持ち帰るときの負担は増えてしまいます。
そのせいか、最近では【カタログギフト】の中に油や調味料がたくさん載っているので、そこから選んでもらう形式が多くなっています。
タオルセット
私たちの生活には飲食物だけではなく日用品も必要です。
日用品の中でも使用頻度が高くて軽量なのが『タオル』で、昔から引き出物としてよく選ばれています。
しかし、タオルは軽くていいのですが、品物が入っている箱のサイズが大きくなってしまいます。
タオルのセットには、だいたい【ハンドタオル】と【バスタオル】が入っているため、どうしても箱のサイズが大きくなるんですよね。
でも、サイズが大きいと何となく《ちゃんとした品物をもらった感》があるんですよね。
また、タオルについても最近では【カタログギフト】に載っているので、今後は引き出物にタオルを渡すことは少なくなるかもしれません。
カタログギフト※1番おすすめ
人によって便利だと思う物や欲しい物は違います。
せっかく引き出物を渡すのですから、どうせなら相手に喜ばれる物を渡したいですよね。
そこで最近多くなっているのが『カタログギフト』です。
カタログギフトなら参列者の好みに合わせた品物を渡すことができ、持ち帰るときにも冊子が1つだけなのでサイズが小さくて軽量です。
カタログギフトは喪主と参列者の双方にとって便利ですから、今後もお葬式の引き出物として選ばれ続けることでしょう。
ただし、カタログギフトのほとんどは3,000円を超える品物なので、引き出物の費用としては少し大きくなってしまうのです。
ですから、参列者が少ないお葬式の場合にはカタログギフトを渡してあげるといいですよ。
参列者が少ない分、1人あたりの品物の質を上げましょう。
しかし、カタログギフトを知らない年配の方々には「引き出物が冊子1つだけ?」と思われる可能性があります。
もしも参列者の年齢層が高いと分かっている場合は、他の品物にした方が無難かもしれません。
※缶詰や菓子類を選ぶ人は少なくなった
お葬式の引き出物には今でも定番なものがあれば、最近ではあまり見なくなったものもあります。
引き出物としてあまり見なくなったのは『缶詰』と『菓子類』です。
缶詰は長期保存が可能なので引き出物としてよく選ばれていたのですが、
- 持ち帰るときに重くてかさばる
- 古い形状のものは缶切りを使って開封しなくてはいけない
- 食べた後の缶の処理が面倒
といったデメリットがあるため、最近ではあまり見なくなりました。
また、菓子類もサイズが小さくて軽量だったので以前はよく選ばれていたのですが、最近では海苔・油・調味料といったようなものにスライドしています。
缶詰や菓子類はあまり見かけなくなりましたが、もしも【お葬式では缶詰やお菓子を渡す】という地域の習慣などがあれば、そこは習慣に従った方が無難です。
引き出物の金額の相場
お葬式では基本的に参列者全員へ引き出物を渡します。
そうなると、引き出物の金額の相場が気になりますよね。
お葬式の場合、引き出物の相場は【1千円~5千円】くらいです。
5千円くらい高価格の引き出物は【故人と近い関係の親戚】に渡したり【参列者が少ないと分かっているとき】に利用されることが多いです。
ですから、参列者が20人を超えるような場合は【1千円~3千円】くらいの引き出物を用意するといいでしょう。
ちなみに、お葬式の『引き出物』の料金は【互助会の契約コース】には入っていないでしょう。
引き出物の料金は参列者の人数によって変わるため、あらかじめ契約コースに入れておくことができないのです。
引き出物の他にも【飲食代金】や【僧侶へのお布施】なども契約コースに入れることができないので、お葬式の追加費用として予算に組み込んでおいてください。
《関連記事》:【入会前に必読!】互助会の積立てコースによくある内容を紹介
引き出物と香典返しは違うもの
引き出物と似たようなものに『香典返し』があります。
引き出物と香典返しはよく混同されますが、じつは、
- 引き出物:参列者全員に渡す返礼品
- 香典返し:香典を包んでくれた人への返礼品
といった違いがあるんです。
引き出物というのは、お葬式の日に参列者全員へ渡す返礼品のことで《会葬返礼品》と呼んだりもします。
また、引き出物は参列者全員へ渡すものですから【品物の金額や内容がみんな同じ】になるのです。
一方で、香典返しというのはその名のとおり香典をもらった人への返礼品のことをいいます。
そして、香典返しは【もらった香典の金額に応じて品物を変える】ものなので、人によって返す品物が違います。
香典返しをするときには一応の決まりがあり、もらった金額の【3分の1】または【半額】相当の品物を送るのが一般的です。
これはマナーとかではなく、あくまで基準というだけです。
原則として香典返しは49日を過ぎてから送るものですから、じっくりと品物を選ぶ時間があります。
香典返しの品物は、引き出物と同様に『消耗品』が適していますが、個別に送るものなので相手の喜びそうな品物を選んであげるとよいでしょう。
ただし、《四つ足》の動物が使用されている物や《生臭いモノ》は避けるように注意してください。
ちなみに、49日以降の法事をした場合、御仏前をもらっても【御仏前返し】なんていうものはありませんので、参列者には引き出物だけを渡してください。
まとめ
お葬式では参列者全員に『引き出物』を渡しましょう。
引き出物として渡す品物は、
- お茶&お茶漬けの素セット
- 海苔&海苔の佃煮セット
- 油&調味料セット
- タオルセット
- カタログギフト
などがよく使用されています。
これらの中でも私が1番おすすめしているのは『カタログギフト』です。
カタログギフトなら軽量ですし、サイズも小さくかさばりませんので、参列者が持ち帰るときに負担が少なくてすみます。
しかも、ちゃんと参列者の好みに合わせた品物を渡すことができますのでカタログギフトはメリットばかりです。
また、『香典返し』は引き出物とは別物なので注意しましょう。
香典返しは、もらった香典の金額の【3分の1】または【半額】を基準にして品物を選び、49日を過ぎてから送ってください。
引き出物や香典返しの品物は、時代によって少しずつ流行がありますので、日頃からチェックしておきましょう。
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