僧侶が激白!某葬儀社で規模の小さなお葬式をお勤めした正直な感想

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『規模の小さなお葬式』って、具体的にどんなお葬式なの?

ちょっき

では、私が経験した特に印象深い『規模の小さなお葬式』の話をしますね。

近年では、参列者が大勢来るような規模の大きなお葬式は減り、反対に参列者の少ない『規模の小さなお葬式』をする人が増えています。

もちろん、どのようなお葬式にするかは遺族が自由に決めてよいことです。

しかし、私が今までお勤めしてきた『規模の小さなお葬式』の中には「これはダメでしょ。」ということもあったので、本記事でそのときの正直な感想をお話しします。

この記事を読むと・・・
  • 規模の小さなお葬式がどのようなものか分かります
  • 規模の小さなお葬式に対する僧侶側の見方が分かります
こんな人向けの内容です
  • お葬式にはあまり人を呼ばず、慎ましやかに行いたい。
  • 正直なところ、お葬式にはあまりお金をかけたくない。
少しだけ自己紹介

この記事を書いている私『ちょっき』は僧侶になって29年です。お葬式を800回以上お勤めしてきた経験をもとに互助会に関する情報を発信しています。

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某葬儀社で規模の小さなお葬式をお勤めした感想

私は何度も『規模の小さなお葬式』をお勤めしていますが、その中でも特に印象に残ったお葬式について書いていきます。

※本記事の内容は、あくまで私が経験した事例を紹介するものであり、すべての『規模の小さなお葬式』に当てはまるものではありません。

信者さんからお葬式の依頼

ある日、私がいるお寺の信者さんからお葬式の依頼がありました。

その信者さんは「参列する人も少ないので、お葬式は規模を小さくして、家族と親戚数名だけでやろうと思います。」とおっしゃいました。

近年では、【家族葬】や【一日葬】など参列者の少ない『規模の小さなお葬式』をする人が急増中です。

私たち僧侶も、すっかりそのような『規模の小さなお葬式』に慣れましたので、その信者さんの依頼もいつもどおり受け付けました。

現地に到着してビックリすることがたくさん

お葬式当日、私は信者さんから頂いた葬儀会場の地図をもとにカーナビをセットして現地へ向かいました。

その葬儀会場は周囲を住宅に囲まれ、カーナビがなければ通り過ぎてしまうような場所にありました。

駐車場の狭さ

現地に到着すると、私は思わず「えっ?」と声を出してしまいました。

その葬儀会場には駐車スペースが全部で5台分ほどしかないのです。

葬儀社の車が1台、遺族の車が1台、そして僧侶(私)の車が1台駐車されると残りは2台分だけなので、あまりにも駐車スペース不足です。

それに、周囲は住宅街ですから、葬儀会場の近くには有料駐車場もありません。

また、近くに駅もなく、あるのは本数の少ないコミュニティバスのバス停が1つだけ。

となれば、他の参列者は最寄りの駅から数十分歩くか、タクシーを使うことになります。

いくら少人数の参列者を想定した会場とはいえ、交通の便が悪い立地なのですから、車で来る人に対してもっと配慮するべきでしょう。

式場への入り口が自動ドアではない

駐車場の狭さに驚きながら車を降りて、会場の入口に向かいました。

入口までたどり着くと、そこには自動ドアではなく【手動ドア】がありました。

葬儀会場が小さい場合、自動ドアであることが多いのですが、この会場の手動ドアはけっこう重かったのです。

成人男性の私でもしっかりと力を入れなければ開かないドアなので、高齢女性の方はなかなか開けられなかったのではないかと思います。

その会場の外観から推測するに、建てられてからまだ数年と思われますので、決して古い建物ではありません。

それなのに、高齢化が進む今後を考えて、なぜ自動ドアにしなかったのか不思議でなりませんでした。

その建物が自動ドアを設置できない理由が何かあったのでしょうか?

司式者(僧侶)控室

会場内に入ると、葬儀社スタッフが出迎えてくれて、司式者(僧侶)控室に案内されました。

僧侶控室というのは参列者が休む部屋と分けられていることが多く、その会場でもちゃんと部屋が分かれていました。

しかし、部屋どうしの天井は繋がっており、さらに部屋の上部が空いていたので、他の部屋の会話がすべて聞こえてきます。

そんなとき、遺族の親戚と思われる人たち同士で「戒名をつけたんだねぇ。アレって別に必要じゃないんでしょ?私のときは要らないわ。」と会話しているのが聞こえました。

その親戚の人たちも、まさか私に会話が聞こえているとは思わなかったでしょう。

私はなんとなく申し訳ない気分になりましたが、信者さんに依頼されたわけですから、気にせず静かにしていました。

そんなところへ、葬儀社のスタッフがお葬式の打ち合わせのために僧侶控室に入ってきました。

そして、私たちの声が聞こえて気まずくなったのか、その後ずっと親戚の人たちは黙ってしまったのです。

もちろん式が始まるまでは自由に話をして大丈夫なのですが、私に会話が聞こえると思うと話ができなかったのでしょう。

部屋同士の天井が繋がっていてお互いに声が聞こえてしまうことは、火葬場内に併設された葬儀式場などではよくあることです。

しかし、私が行ったのは葬儀専用の会場なのですから、他の葬儀会場と同じように部屋をしっかりと分けた設計にするべきです。

トイレは1つだけ

私は式が始まる前に必ずトイレに行くようにしています。

そしていつものように葬儀社の方にトイレの場所を聞き、トイレに向かいました。

すると、そこには男女兼用のトイレが1つだけしかありませんでした。

私はあまり気にしませんが、女性の場合は気にする人が多いのではないでしょうか。

また、トイレが1つしかないため、式が始まる前の同じタイミングでみんながトイレに行き、トイレ待ちの列ができてしまっているのです。

最後に並んでいた人たちは、式が始まっても着席することができませんでした。

通常の葬儀式場では、トイレは必ず男女列になっています。

いくら規模の小さいお葬式専用の会場とはいえ、トイレくらいは男女別にするべきです。

『式場となる部屋』と『流し台のあるロビー』との仕切りがない

その会場は『式場となる部屋』と『ロビー』が間仕切りなしでつながっており、ロビーの片隅には【流し台】がありました。

私は「式の前に簡易的な《間仕切り》を設けるのかな?」と思っていましたが、間仕切りはされないまま式が始まりました。

私は気にせず式を進めていましたが、数分後流し台の方から食器を洗うことが聞こえ始めました。

おそらく、参列者のために出したお茶の湯のみなどを洗っていたのだと思いますが、水をジャージャー流して湯呑みをガチャガチャ洗うものですから、それはまぁうるさいこと。

明らかにうるさいのに、なぜ他のスタッフは注意をしないのか、そもそも他のタイミングで洗うことはできないのか。

私は長年お葬式をしてきましたが、あんなに不快な気持ちでお葬式をしたことはありませんでした。

食器を洗うなとは言いませんが、お葬式をしている最中なのですから、洗うならもっと音に気をつけるべきです。

もしも理由があって流し台のついたロビーで設計したのなら、洗う音が聞こえないように『式場となる部屋』と『ロビー』は分けるべきです。

というか、あの会場は、駐車場、ドア、僧侶控室も含めて、全体的に設計がおかしかったですね。

スタッフが少ない

普通の葬儀社の場合、どんなにお葬式の規模が小さくてもスタッフが4人はいますが、その葬儀会場には女性のスタッフが2人だけでした。

でも、そのうちの1人のスタッフさんは非常に丁寧で、動きも良くテキパキと仕事をこなしていたので、少し心配でしたがお任せするしかありませんでした。

お葬式については、食器を洗う音以外は問題なく進められました。

しかし、葬儀社のスタッフにとって1番忙しくなるのは、お葬式が終わってから出棺までの時間です。

お葬式が終わると、祭壇の花を摘んで、その花を棺桶に入れるための準備をします。

規模の小さなお葬式なので生花の量も少ないのですが、それでも2人しかいないため、まずは花を摘むのに時間がかかっていました。

花摘みが終わり、棺桶へのお花入れをするときも、やはりスタッフが2人しかいないためか時間がかかってしまいました。

また、喪主が最後に挨拶をしているときには、その周りで1人のスタッフがバタバタと片付けです。

そして、いよいよ出棺のときには、スタッフ2人で棺桶を霊柩車まで運ぶ手伝いをし、1人はそのまますぐに霊柩車の運転手に早変わりです。

もう1人のスタッフは《会場で見送りをする参列者》と《火葬場まで行く参列者》のそれぞれに案内をし、その後は出棺時の交通整理もしなくてはなりません。

私から見ると、あまりにもせわしなくて、良いお葬式だとは到底思えませんでした。

いくら規模の小さなお葬式とはいえ、まともなお葬式をするためには最低でもスタッフが4人くらい必要だと強く感じました。

口コミの総合評価がなんと星5(満点)!

私は、その葬儀会場を利用した人たちがどのような印象を持ったのか知りたくて、寺に戻ってから口コミを見てみました。

その葬儀会場の口コミは30件ほどあったのですが、その総合評価がなんと星5の満点だったのです。

私は「いや、あの会場でそんなはずはないだろう。」と驚いて、口コミをすべて読んでみました。

すると、書き込まれているコメントはすべて短文で、星5以下の評価が1件だけという非常に不自然なものでした。

口コミで星5をつけるくらい満足しているなら、どこが良かったなどの具体的な内容が書かれた長文コメントがあるはず。

また、まともな口コミが書かれているウェブサイトなら、満点をつける人の方が少ないものです。

つまり、30件ほどの口コミはすべて葬儀社の関係者が適当に書き込んだものということ、開いた口が塞がらないです。

本当によく頑張っているスタッフさんには敬意を表しますが、その葬儀社には不信感しかありません。

【感想】:規模は小さくても充実した施設を利用するべき

私は規模の小さなお葬式がダメだと言っているわけではありません。

お葬式そのものは規模が小さくてもいいですが、葬儀場などの施設やスタッフの数まで規模が小さくなってしまうと、納得のいくお葬式はできないと言いたいのです。

お葬式の良し悪しは参列者の数で決まるものはありませんが、故人の最後を飾るにふさわしい充実した施設は必要です。

ですから、納得のいくお葬式をするには、参列者の数ではなく、会場や祭壇といった【施設のレベル】そして【スタッフの人数と質】がとても重要なのです。

規模の小さなお葬式でも葬儀費用は意外とかかる

規模の小さなお葬式を希望する人の多くは、葬儀費用を抑えたい人です。

しかし、規模の小さなお葬式でも、それなりに大きな費用がかかります。

一日葬

葬儀費用を比較的安くする方法の1つに『一日葬』があります。

一日葬は、通夜式をせずにお葬式だけをするもので、近年では急増している葬儀形式です。

一日葬なら通夜式がない分だけ費用が抑えられるため、総費用は大体【60万円~100万円】くらいが相場です。

一般的なお葬式の相場が200万円であるのに比べると、葬儀費用をかなり抑えることができますよね。

しかし、一日葬は参列者の数によって費用が変わるので予算通りいかないこともよくあります。

ですから、一日葬でもそれなりに大きなお金が必要であることには変わりありません。

また、数万円でお葬式ができるかのように宣伝されているケースもありますが、実際のところ数万円程度では納得のいくお葬式はできませんので注意してください。

《関連記事》:安さだけで選ぶと大後悔。格安葬儀でトラブルになる事例と理由

家族葬

近年では、一日葬の他に、遺族や一部の親族だけでお葬式を行う『家族葬』も急増しています。

家族葬は参列者が少ないので、総費用の相場は大体【130万円】です

先ほどの一日葬と同じように、一般的なお葬式の相場が200万円であるのに比べて、確かに費用は安く抑えられますが、それでも高額な費用には変わりありません。

ただし、家族葬ならお葬式の参列者を限定できるので、おおむね予算内に費用を収めることができます。

多くの人が【お葬式の準備】のためにしていること

どのような形式であれ、葬儀費用はそれなりに高額です。

では、そのような葬儀費用をどうやって準備すればよいのでしょうか。

葬儀費用の準備のために貯金をしている人もいますが、実際のところ、ちゃんとお金を貯め続けられる人はあまりいません。

多くの人は、葬儀費用の準備のために互助会に入会し、積み立てをしているのです。

互助会の加入契約数は日本全国で約2,200万件で、だいたい日本人の5人に1人が互助会に入っている計算です。

互助会に入って、事前に積み立てをしておけば、いざというときに急な大出費で慌てることがありません。

また、互助会で積み立てをすることにより、

  • 葬儀費用の大幅な割引が受けられる
  • 充実した施設や備品を格安料金で利用できる
  • しっかりとした遺体の霊安室がある
  • スタッフの質が高いなど

など、お得な特典やメリットがあります。

いつか必ずやって来るお葬式に向けて、今のうちから準備をしておくことがとても大事です。

そのためにも、互助会で積み立てをしておき、無理なく、そしてお得にお葬式の準備を始めておきましょう。

《関連記事》:互助会に入った方がいい?互助会に入るメリットとデメリット

まとめ

お葬式は、参列者が少ない【規模の小さなお葬式】でもまったく問題ありません。

しかし、お葬式の規模を小さくしても、葬儀会場や祭壇などの施設の規模は小さくしないでください。

施設の規模を小さくすると、会場によっては非常に使いづらかったり、スタッフの人数が少ないこともあります。

また、規模の小さなお葬式をしても劇的に葬儀費用を減らすことはできません。

一日葬の相場は【60万円~100万円】程度、家族葬の相場は【130万円】程度と、規模は小さくても大きな費用が必要です。

そのため、多くの人は互助会に入り積み立てをして葬儀費用を準備しています。

お葬式の規模は小さくて構いませんが、故人の尊厳を守るため、また遺族が納得してお葬式ができるように、今から準備を進めておきましょう。

※互助会についてはこちらの記事でも解説しています。

互助会って何なの?互助会に関する基礎知識を分かりやすく解説

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