この記事では《通夜振舞い》や《精進落とし》などお葬式の料理費用の相場について、現役僧侶の私が解説しています。
お葬式では参列者へ料理をふるまいますが、その料理費用がどれくらい必要なのか気になりますよね。
結論から先に言いますと、お葬式の料理費用は1人あたり、
- 【通夜振舞い】2千円~4千円
- 【精進落とし】5千円~8千円
- 【おしのぎ】400円〜800円
くらいが相場です。
お葬式の料理費用は参列者の人数によって変わるため、参列者が多いほど料理費用も増えます。
しかし、料理費用を抑えすぎると質素な料理を出すことになり、参列者に対して失礼です。
お葬式の料理には【参列者への御礼】という大事な意味があるので、適切な料理費用の予算を組むためにも、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
お葬式において料理はとても大事ですよ。
お葬式でふるまう料理には種類がある
お葬式でふるまう料理には、
- 通夜振舞い
- 精進落とし
- おしのぎ
があります。
通夜振舞い
お葬式というのは、一般的に『通夜式』と『葬儀告別式』を合わせた2日間のことをいい、通夜式と葬儀告別式でそれぞれに料理がふるまわれます。
まず、通夜式の後には『通夜振舞い』という食事の席が設けられます。
通夜振舞いには、
- 通夜式の参列者や僧侶に対して【感謝の気持ち】を表す。
- 故人に最後の食事をしてもらい、供養をする。
という意味があり、通夜式にはつきものです。
通夜振舞いの席では、参列者みんなで食事をしながら故人の思い出話などをします。
また、一般的には葬儀告別式よりも通夜式の方が参列者が多く、喪主としても何人来るのか予測できないこともよくあります。
そのため、通夜振舞いの料理はオードブル形式で柔軟に対応できるようにすることが多いです。
通夜振舞いは量を多めに用意した方が無難です。
精進落とし
通夜式の翌日には『葬儀告別式』があります。
葬儀告別式が終わると、その後に『精進落とし』という食事の席が設けられます。
精進落としをするタイミングは葬儀告別式のやり方によって変わりますが、だいたいは、
- 葬儀告別式のすぐ後
- 火葬中
- 火葬場から式場に戻った後
上記のいずれかです。
じつは、本来であれば精進落としは49日が明けてから行うものなのです。
昔は、人が亡くなると、その家族は喪に服すために49日が明けるまで【精進料理】という肉や魚を使用しない料理を食べていました。
そして、49日が明けるタイミングで精進料理から通常の料理へ戻したことから『精進落とし』と呼ばれるようになりました。
しかし、実際のところは葬儀告別式が終わった段階で精進落としがふるまわれることがほとんどです。
本来なら葬儀告別式直後は精進料理であるべきですが、参列者に満足してもらえる料理を出したいという喪主が多いので、49日が明けていなくても精進落としがふるまわれるようになりました。
参列者をもてなすことを優先した結果ですね。
おしのぎ
葬儀告別式後の食事にはもう1つ『おしのぎ』があります。
葬儀告別式が終わると故人は火葬場へ搬送され、いよいよ火葬となります。
火葬時間はだいたい1時間~1時間30分くらいですが、その間に参列者へふるまわれる軽食が『おしのぎ』です。
おしのぎは、通夜振舞いや精進落としのような料理内容ではなく、おにぎりやサンドウィッチといった簡単なものです。
ただし、おしのぎは必ずふるまわれるものではありません。
地域によっては火葬中に精進落としをするところも多いので、その場合はおしのぎは出ません。
おしのぎが出るのは式場に戻ってから精進落としをする場合で、火葬場での待ち時間の【つなぎ】としてふるまわれます。
お葬式の料理費用の相場
お葬式の料理費用は参列者の人数によって変わります。
ですから、料理費用の予算を組むためには、1人あたりの費用の相場を知っておくことが大事です。
通夜振舞いの金額の相場
『通夜振舞い』の金額の相場は1人あたり【2千円~4千円】くらいです。
参列者の人数は、通夜式と葬儀告別式を比べると【通夜式】の方が多くなります。
一般的に通夜式は午後6時頃から行われるので、この時間帯であれば親戚だけでなく友人や職場関係者も参列しやすいのです。
ただし、参列者が多いということは、それだけ料理費用も大きくなります。
また、故人の交友範囲が広ければ、どれくらい参列者が来るのか喪主も予測できませんので、どうしても料理を多めに発注することになります。
しかし、料理費用が大きくなるからといって料理内容のグレードを下げすぎると、見た目で分かるくらい質素になるので参列者に対して失礼です。
そのため、多くの人は通夜振舞いの料理として1人あたり【2千円~4千円】くらいの《適度に豪華な内容》を選んでいます。
精進落としの金額の相場
『精進落とし』の金額の相場は、1人あたり【5千円~8千円】くらいです。
一般的に、通夜式よりも葬儀告別式の方が参列者の人数は少なくなります。
また、葬儀告別式後の食事までいる人は限られるので、必要な料理の数がちゃんと分かります。
そのため、精進落としは通夜振舞いの料理内容よりもグレードを上げ、参列者全員の料理を個々に用意することが多いです。
そして、精進落としでは参列者に満足してもらえるようなしっかりとした懐石料理を用意しますので、どうしても1人あたり【5千円~8千円】が必要になります。
ちなみに、精進落としで【1万円】を超える料理を用意する人もいますが、1万円を超えると量が多すぎるだけでなく、参列者が恐縮してしまいます。
料理の金額は1人あたり8千円までに抑えておきましょう。
おしのぎの金額の相場
『おしのぎ』には【おにぎり】や【サンドウィッチ】がふるまわれます。
おにぎりの場合は、1人あたり【400円~600円】くらいが相場です。
そして、サンドウィッチの場合は、1人あたり【600円~800円】くらいが相場です。
おしのぎは、その名のとおり《火葬中の空腹をしのぐ》ための軽食なので、本当に簡単なもので問題ありません。
そもそもお葬式の料理は必要なのか
一般的に、お葬式では参列者への御礼として料理がふるまわれます。
しかし、お葬式の料理は【必要】というわけではありません。
料理をふるまうかどうかは喪主や遺族の考え方次第なので自由です。
実際に、お通夜式後の『通夜振舞い』は、参列者が身内だけの場合は省略されるケースが多いです。
また、参列者が多い通夜式の場合でも、遠慮をして料理にあまり手を付けない参列者が多いと、せっかく喪主が用意した通夜振舞いの料理が余ってしまうこともあります。
料理を振る舞うのは《参列者に対する御礼》のためなので、もしも参列者がそれを望んでいないのであれば料理は不要なのです。
とはいえ、私の経験上、たとえ身内だけだとしても参列者が10人を超えるような場合はちゃんと料理が出されています。
お葬式の料理は【必要】というわけではありませんが、ちゃんと料理を出しておいた方が無難です。
まとめ
お葬式でふるまわれる料理には、
- 通夜振舞い
- 精進落とし
- おしのぎ
があります。
それぞれ1人あたりの金額の相場は、
- 通夜振舞い:2千円〜4千円
- 精進落とし:5千円〜8千円
- おしのぎ:400円〜800円
くらいです。
参列者の人数によっては料理費用が大きくなるので、喪主としてはできるだけ費用を抑えたいところです。
しかし、お葬式の料理には【参列者への御礼】という大事な意味があります。
料理費用を抑えすぎて質素な食事になると参列者に対して失礼です。
身内だけなら料理を省略してもかまいませんが、他にも参列者が来る場合は相場に準じた料理をふるまうようにしましょう。
※こちらの記事も参考にしてみてください。