互助会について調べていると、「互助会なんて必要ない」という意見をよく見かけます。
互助会というのは、普段はその有用性を実感しにくいものです。
そのため、互助会を解約して一時的には「お金の無駄を省けた」と安心できても、いざお葬式となったときに後悔する人が多いのです。
互助会には葬儀費用を大幅に軽減できるなどの大きな特典がありますが、解約をするとそれらをすべて捨ててしまうことになります。
この記事では、互助会を退会してしまい、深く後悔した人の体験談を紹介しています。
お葬式で家族に大きな負担をかけないように、互助会を退会する前に読んでみてください。
この記事を書いている私『ちょっき』は僧侶になって30年です。お葬式を800回以上お勤めしてきた経験をもとに互助会に関する情報を発信しています。
大きな負担となった葬儀費用の一括支払い
木村さん(62歳女性)の話です。
木村さんは60歳で退職をし、そのすぐ後に互助会を退会しました。
理由は、毎月の互助会の積立金が負担に感じたからです。
年金暮らしになると数千円でも惜しく思えてきて、やがて「今のうちから少しでも節約しておこう」と考えるようになったそうです。
解約した当時は、「あぁ、これで家計が楽になる。」とすっきりした気分になりました。
ところが、その2年後に木村さんのご主人が急逝しました。
末期ガンが見つかり、懸命に治療しましたが、ガンの発見から半年後に亡くなったのです。
気持ちの整理をする暇もなくお葬式を執り行い、葬儀社からの請求書を見て驚きました。
「えっ、200万円!?」
木村さんの想像をはるかに上回る高額請求でした。
結局、長年頑張って貯めてきたお金を大きく取り崩すことになったのです。
「互助会を継続していれば、こんな大金を支払わずにすんだのに・・・。」と、互助会の解約を後悔した木村さんでした。
木村さんは老後の生活費を節約するために互助会を解約しました。
しかし、ご主人の急逝により、まとまった葬儀費用を一度に支払うことになり大きな負担を感じました。
互助会の大きなメリットは『少額で積み立てることで急な大出費を軽減できる』という点です。
それを解約してしまうと、お葬式のときには数十万円~数百万円という大金をすぐに用意しなくてはなりません。
互助会で積み立てをすることの安心感を自分から捨ててしまったことが大きな後悔に繋がった事例でした。
想像以上の解約手数料で損をした
坂本さん(58歳男性)の話です。
坂本さんは50代前半のときに「互助会で積み立てをしてもお金の無駄だろう」と思い、互助会を解約しました。
このとき、坂本さんは積立金がすべて返ってくると思っていたそうです。
しかし、実際は解約時に解約手数料が必要で、返ってきたのは積立金総額の4分の3程度。
「はぁっ?なんでこんなに少ないの?」と驚きましたが、解約をしてしまったので時すでに遅し。
そして、その後すぐに坂本さんのお母様が亡くなりました。
想定よりもずっと早くお葬式をすることになってしまった坂本さん。
慌てて葬儀社を探し、大幅な割引などもないような高額料金でお葬式をすることになりました。
「互助会を続けていれば多くの特典が使えたはずだった。それに返戻金も少なかった。ダブルで損をした気分だ。」と、互助会を解約したことを非常に後悔したそうです。
解約したときは【お金の無駄をなくしたい】の一心でしたが、皮肉なことに正反対の結果となってしまったのです。
坂本さんは「互助会での積み立てが不要だと思った。」という理由で解約しました。
しかし、解約には『解約手数料』が必要で、積立金の全額が戻るわけではありませんでした。
どこの互助会でも『解約手数料』は必ずあります。
これは互助会の運営やサービスの質を確保するために必要なものですが、利用者にとっては不満に繋がりやすいポイントです。
互助会を解約するときには、返戻金がどのくらいなのかをしっかりと確認しておきましょう。
急なお葬式に慌ててしまった
松山さん(52歳男性)の話です。
松山さんは40代で互助会を解約しました。
松山さんのお母様はまだお元気で、松山さんは「お葬式なんてずっと先のことだし、積立てはやめてしまおう。」と思い互助会を解約したそうです。
解約をした当初は、月々の積み立てが無くなったこともあり少し安心していたくらいでした。
ところが、互助会を解約した半年後にお母様が急逝されたのです。
まさかそんなに早くお葬式をすることになるとは夢にも思わなかった松山さん。
心の準備がまったくできていなかった松山さんは、深い悲しみの中で急いで葬儀社を探しました。
「どこの葬儀社に依頼すればいいんだ?」
時間がないので気持ちばかり焦ってしまい、結局は病院から紹介された葬儀社へ依頼することに。
いくつかの葬儀プランを見せてもらいましたが、どれも想定していたよりずっと高額で、しかも深い悲しみと焦りの中では正常な判断なんかできません。
最終的には想定していた金額の1.5倍の費用を支払う結果となりました。
「あの時はとにかく慌ててしまっていた。もし互助会を続けていたら契約コースもあるから、あんなに慌てずにすんだと思う。」
松山さんは、互助会を解約したことで、大切なお金を失っただけでなく、母親を心静かに見送る機会を失ってしまったのです。
松山さんは、互助会に入会しているときは「いざという時はすぐに依頼できる葬儀社がある」という安心感がありました。
しかし、互助会を解約した後に母親が急逝し、葬儀社探しと大きな葬儀費用の準備を短期間にしなくてはなりませんでした。
その結果、心身ともに余裕がなくなり、心静かに母親を見送ることができなかった上に、想定以上の葬儀費用を支払うことになったのです。
私たちは、大切な人を亡くした直後は冷静な判断をすることができません。
しかし、互助会に入っていれば「まずはここへ連絡すれば大丈夫。」という安心感があり、また、いざというときは精神的に大きな支えとなります。
互助会を解約してしまい、経済的な負担だけでなく『正常な判断ができなくなる』という不安が重なり、悔いの残るお葬式となってしまった事例です。
大きな会員特典を失った
中井さん(60歳女性)の話です。
中井さんは互助会を数年で解約しました。
理由は「互助会のメリットを感じられないから、積み立てをしてもお金の無駄だ。」と思ったからです。
その後、友人のお父様のお葬式に参列したとき、友人との会話の中で衝撃的な事実を知りました。
友人の話によると、互助会の会員だから式場使用料が無料だった、とのこと。
中井さんは自分の耳を疑いました、じつはその式場は【自分が解約した互助会の式場】だったのです。
同じ式場を使うにあたり、会員なら無料ですが、非会員の場合は数十万円かかります。
会員特典の内容をちゃんと理解しておけば、互助会の積み立てが決して無駄ではないことは分かります。
しかし、中井さんは一時的な考えで解約をしてしまい、大きな会員特典を失ったのです。
互助会のメリットは、積み立てによって毎月の【少額の支払い】ができることと、いろんな【会員特典】があることです。
そして、互助会に入会する主なメリットは【会員特典】の方です。
しかし、そのメリットを実感できるのは《お葬式のとき》であることが多いため、互助会の価値を見出せず解約してしまう人がいるのです。
中井さんは友人のお父様のお葬式で、はじめて会員特典の威力を知って愕然としました。
互助会を解約したことで、自分から『高額料金でお葬式をすること』を選択してしまったことに気づいたのです。
互助会を解約するかを判断するときは、どのような会員特典があるのかを確認し、会員であることの価値を知っておくことが大事です。
※中井さんのご友人が言った「式場使用料が無料になった」というのは、すべての互助会に当てはまるわけではありません。
式場使用料が無料になる互助会もありますが、多くの場合は、毎月支払っている積立金の中に式場使用料が含まれています。
まとめ
本記事では、『互助会の解約』を後悔した人たちの体験談を紹介しました。
彼らは、
- 目先の節約を優先してしまった
- 解約手数料を知らなかった
- 突然の葬儀を想定していなかった
- 会員特典を正しく理解していなかった
などが原因で互助会の解約をしてしまい、結果的に大きな損をしたのです。
互助会に入会するかどうかは自由なので、互助会が不要だと考える人もいるでしょう。
しかし、いつお葬式をすることになるかは誰にも予測がつきません。
あなたが【互助会の解約】を考えているなら、本記事の『互助会を解約して後悔した人』の体験談を思い出してください。
本当に互助会を解約することが正しいのでしょうか?
互助会に入会しておき、いざという時のために安心を残しておくことは、お金を残すことと同じくらい大切な準備だと思います。
※こちらの記事もご参考にどうぞ。