【お葬式の豆知識】精進落としをする場所は『火葬場』が最適です

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『精進落とし』をする場所は火葬場がおすすめ

『精進落とし』をする場所はどこがいいですか?

ちょっき

私は【火葬場】が最適だと思いますよ。

お葬式をした後に参列者へ振る舞う食事のことを『精進落とし(しょうじんおとし)』といいます。

精進落としをする場所には決まりがないので、遺族が自由に決めてかまいません。

しかし、遺族はもちろん参列者の負担を考えると【火葬場】が最適でしょう。

本記事では『精進落としをする場所』について詳しく解説しています。

いざというときに慌てないよう、予習のつもりで読んでみてください。

この記事を読むと・・・
  • 精進落としの意味が分かります
  • 火葬場で精進落としをするメリットとデメリットが分かります
  • 火葬場以外での精進落としについて分かります
少しだけ自己紹介

この記事を書いている私『ちょっき』は僧侶になって29年です。お葬式を800回以上お勤めしてきた経験をもとに互助会に関する情報を発信しています。

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『精進落とし』の意味

まずは、本記事のテーマになっている『精進落とし』の意味から説明します。

あなたは《精進料理》をご存じですか?

精進料理とは、肉や魚などをまったく使わない料理のことです。

他にも、動物性の油やタレ、匂いと刺激の強い野菜、辛い調味料なんかも一切使わず、例えば、

  • かつお出汁の入った醤油はダメ
  • 納豆は大丈夫だが、付属のタレが【カツオだし】ならダメ
  • みそ汁は【昆布出汁】のみ
  • 七味や和唐辛子はダメ
  • ネギ・ニンニク・ニラはダメ

というカンジです。

精進料理は、仏教の【生き物を殺すな、刺激を追い求めるな】というお釈迦様の教えを守りながら食事できるように考えられており、さらに慎ましやかな生活を送るための料理でもあります。

そのため、ずっと昔は、故人の冥福を祈り派手な行動を慎むために、家族は49日を迎えるまでの間《精進料理》を食べ、49日を過ぎると通常の料理に戻していました。

じつは、この49日で《精進料理》から《通常の料理》に戻すことを『精進落とし』というのです。

あれっ?お葬式後の食事のときに『精進落とし』と言っていたけど?

ちょっき

たしかに、お葬式後の食事を『精進落とし』と呼んでいますよね。

本来なら49日を迎えるまでは精進料理ですが、お葬式には多くの人を招いているので、参列者を【もてなす】ことも大事です。

そのため、49日までの期間が経過したとみなし、参列者には精進料理ではなく通常の料理を振舞うようになりました。

それが習慣化され、お葬式後の食事を『精進落とし』と呼ぶようになったのです。

ですから、精進落としの料理は【参列者へのおもてなし】として、美味しく満足してもらえるような品目を選びましょう。

『精進落とし』をする場所は火葬場が最適

精進落としをする場所の多くは、葬儀式場か火葬場です。

まず、葬儀式場として使用される場所には、

  • 葬儀社のホール
  • 公営の葬儀式場
  • 自宅
  • 自治会館

などがあり、火葬が終わった後は、これらの葬儀式場に戻って精進落としをします。

一方で、葬儀式場には戻らず、火葬場で精進落としをすることもできます。

精進落としの場所に関する仏教的な決まりはありませんので、どこにするかはあなたの自由です。

しかし、僧侶の私としては、精進落としをする場所は『火葬場』が最適だと思っています。

火葬場であれば後述する多くのメリットがあるので、地域の習慣などで問題がなければ火葬場での精進落としを検討してみてください。

火葬場で精進落としをするメリットとデメリット

ここからは、火葬場で精進落としをする場合のメリットとデメリットを紹介します。

火葬場で精進落としをするメリット

火葬場では、収骨までの間、参列者は待合室で待機します。

収骨までの待機時間は、だいたい1時間〜1時間半くらいです。

近年では、この『収骨までの待機時間』を利用して精進落としをすることが多いです。

これにより、

  • 収骨までの時間を有効に使える
  • 食事をする時間帯をお昼近くに寄せられる
  • 火葬場で解散できるので、参列者の拘束時間を減らせる

などのメリットがあります。

収骨までの時間を有効に使える

お葬式に参列している人たちは、公私ともに忙しい中で時間を作って来ています。

そこで、収骨までの時間に【精進落とし】を振る舞い、参列者をただ待たせるのではなく、食事をしながら時間を過ごしてもらうのです。

これにより、収骨までの時間を有効に使うことができます。

また、人間は物を食べるとリラックスをするので、参列者をお葬式の緊張感から少し早めに開放してあげることもできます。

食事をする時間帯をお昼近くに寄せられる

お葬式は午前中に執り行うことが一般的です。

そうすると、お葬式そのものにかかる時間と葬儀式場からの移動時間などで、火葬場に到着するのはだいたい《お昼〜午後2時頃》になります。

つまり、火葬場で精進落としを振る舞うことで、普段の【昼食】に近い時間帯で参列者の方々に食事をしてもらえるのです。

火葬場で解散できるので、参列者の拘束時間を減らせる

一般的には、精進落としの終盤になると喪主が参列者へ御礼を述べ、その後に解散をします。

ですから、火葬場で精進落としをしていれば、その場で解散することができます。

遠方から来た参列者にとっては解散時間が早くなることは正直なところ【助かる】はずです。

このように、火葬場で精進落としをすることで、時間を無駄なく有効活用できる点が大きなメリットとなりますね。

火葬場で精進落としをするデメリット

火葬場で精進落としをすることにはデメリットもあります。

それは、

  • 食事をしている時間にあまり余裕がない
  • 部屋が少しだけ狭い
  • 他の家(他の葬儀の家)の人たちが大勢いる
  • そもそも火葬場の雰囲気自体が苦手な人にとっては苦痛

といったことです。

食事をしている時間にあまり余裕がない

火葬場で精進落としをする最大のデメリットは、『食事をしている時間にあまり余裕がない』ことです。

最近の火葬技術はずいぶん向上し、以前に比べると火葬時間が短くなりました。

しかし、火葬時間が短くなった分だけ精進落としの時間も短縮せざるを得なくなり、あまりゆっくりと食事をしていられなくなりました。

とはいえ、収骨まではどんなに早くても1時間程度はかかりますので、慌てて料理を口へかき込むということはありません。

部屋が少しだけ狭い

火葬場にある『食事ができる部屋』はさほど広くはありません。

そのため、参列者が多い場合は少し狭く感じてしまう可能性があります。

とはいえ、長時間いるわけではないですし、逆に皆で一緒に話がしやすい状況になるかもしれません。

他の家(他の葬儀の家)の人たちが大勢いる

火葬場では他の家の人たちも同じように食事をしています。

そのため、壁一枚隣には他の家の人たちの声が聞こえてくることもあります。

また、タイミングによってはトイレが混んでしまうこともあるんですよね。

そのため、他の家の人が大勢いることは何かと気を遣うのでデメリットになります。

そもそも火葬場の雰囲気自体が苦手な人にとっては苦痛

火葬場というのは一般的にはあまり良いイメージの場所ではありません。

ましてや、たくさんのご遺体が火葬されている場所ですから、気分的に「できるだけ火葬場に滞在したくない。」と思う人もいます。

そのような人にとっては火葬場での精進落としは苦痛な時間になってしまうことがあるんですよね。

葬儀式場へ戻って精進落としをするメリットとデメリット

私としては火葬場での精進落としをおすすめしていますが、葬儀式場に戻ってから行うという選択もあります。

ここからは、葬儀式場に戻ってから行う場合のメリットとデメリットを紹介していきます。

なお、式場に戻る場合、収骨までの間は簡易的な食事(『おしのぎ』といいます)だけで済ませるというケースがほとんどです。

葬儀式場へ戻って精進落としをするメリット

葬儀式場に戻ってからの精進落としには、

  • 時間に余裕があるので、ゆっくりと食事ができる
  • 他の家(他の葬儀の家)の人たちがいないので、少しくらい騒いでも大丈夫
  • 食事の部屋を広々と使える

といったメリットがあります。

時間に余裕があるので、ゆっくりと食事ができる

火葬場のように収骨までの時間内に食事を終える必要がないため、比較的ゆっくりと食事ができます。

しかし、時間があるといっても式場の使用可能時間は決まっていますのでご注意ください。

他の家(他の葬儀の家)の人たちがいない

葬儀式場の場合、火葬場のように他の家の人たちが大勢いるということはありませんので、余計な気遣いをせずにすみます。

少しくらいであればワイワイと騒いでも他の家に迷惑をかけてしまうなんてことはありません。

ただし、大きな式場の場合は他の家も精進落としをしていることがあります。

食事の部屋を広々と使える

多くの葬儀式場には食事をするための部屋があります。

そして、火葬場に比べると広々としているので、ゆったりと使うことができます。

葬儀式場に戻って精進落としをすることで、ゆったりと余裕をもって食事の時間とスペースを取れるところがメリットになります。

葬儀式場へ戻って精進落としをするデメリット

続いて葬儀式場に戻って精進落としをするデメリットは、

  • 食事の始まる時間が遅くなる
  • 解散の時間が遅くなる

この2点になるかと思います。

食事の始まる時間が遅くなる

葬儀式場に戻って精進落としをする大きなデメリットは『食事の始まる時間が遅くなる』ことです。

一般的な時間に始まるお葬式の場合、葬儀式場から火葬場へ行き、再び葬儀式場まで戻ってくる時間を考えると、食事が始まる時間は午後2時30分〜4時くらいになってしまいます。

火葬場での軽食があるとはいえ、これでは、参列者はお腹が空いてしまいます。

もちろん、お葬式が朝早い時間に始まれば問題はありませんが、それだと参列者はかなり早起きをしなくてはいけません。

葬儀式場での精進落としは、時間の使い方が非効率的であることがデメリットです。

解散の時間が遅くなる

精進落としの始まる時間が遅くなるということは、解散の時間もそれだけ遅くなるということです。

遠方から来ている人は帰宅時間が遅くなってしまいますし、場合によっては宿泊を余儀なくされることもあるかもしれません。

また、葬儀式場に戻ってからの食事だと全体的に時間が遅くなってしまい、喪主も参列者もその分だけ疲れてしまいます。

ですから、それ相応の事情がない限り、葬儀式場に戻ってからの精進落としは避けた方がよいと思います。

精進落としのときは少しくらい笑い声があってもいい

ここで1つお伝えします。

精進落としのときは少しくらい笑い声があってもいいです。

お葬式という悲しみの場で笑うことは【不謹慎】だと考えられていますが、それってどうなのでしょうか。

私は、少しくらい【笑い】があってもイイんじゃないかなと思いますよ。

私の経験からすると、精進落としをする頃になれば喪主や遺族も少し落ち着いていますし、皆が無言でシーンとしてるわけではありません。

普通に話をしながら食事をされていますし、チラホラと笑い声も出ています。

小さなお子様達が参列しているときなんかは、退屈したお子様が楽しそうに騒ぎ出すなんてことも普通の光景です。

お葬式なのでもちろん悲しいのですが、食事くらいの頃になると、おそらくそれなりに故人の死を受け入れ始めているんじゃないかと思います。

それで考えてみたのですが、逆にみんなが笑ってあげることで、故人としては安心できるのではないでしょうか。

故人からすれば、自分の家族みんながずっと泣いて悲しんでいたら、心配であの世に行きづらいと思いませんか?

それよりも、少し笑い声があるくらいの方が、故人も安心して旅立てると思いますよ。

まとめ

お葬式で参列者への【もてなし】となる精進落とし。

みんな、忙しい中で時間をとって故人にお別れをしに来てくれたので、できるだけ参列者への配慮をすべきでしょう。

精進落としは葬儀式場でもできますが、参列者の負担などを考えると『火葬場』で行うのがおすすめです。

火葬場で精進落としをすれば、少し忙しくはなりますが、時間を有効活用できます。

火葬場で食事ができる時間はおよそ1時間~1時間半ですが、この時間でたくさん故人の思い出話をしてあげてください。

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